高校補欠選手が1年後NPBへ! 西武育成2位・谷口 朝陽の「徳島夢物語」<インディゴソックス ドラフト指名6人全員インタビュー④>
今年のドラフトで「11年連続指名」と史上最多の「同時6人指名」を成し遂げた四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックス。この圧倒的な実績はどこから生まれるのか。 今年指名を受けた6人のインタビューからその秘密に迫るこの企画。4人目は西武育成2位・谷口 朝陽投手(広陵出身)である。 【動画】谷口朝陽のピッチングもやはり凄い...
1年でNPBへ行くことが恩返し。そして勇気と希望を与える
「呼ばれた時は頭の中が真っ白になりました。何も覚えていなくて、実感もなかったです」 指名の瞬間を谷口はこう振り返る。 それもそのはず、1年前、谷口は広陵の控え投手だったのだ。公式戦のベンチ入りができたのは、3年生の春だけ。エースナンバーを背負う経験をしたものの、公式戦の登板をほとんどすることなく、高校野球3年間を終えた。 「みなさんからは『3年生の春はエースだったよね』って言ってもらえますが、自分らはコロナ世代だったこともあり、メンバー入れ替えができたんです。結果としてその試合だけ1番をつけただけで、あの段階で自分がつけられるだけの技術はなかったとは思っています」 谷口は、高い身体能力と140キロを超えるストレートを持つ、注目の選手ではあった。しかし、ケガが多く、実力を発揮することができなかったのだ。 広陵野球部員は高校卒業後、ほとんど大学に進学する。だが谷口は中井哲之監督には「絶対1年でNPBに行きたいです」と思いを伝え続けた。 「中井監督はじめ、みんなから控えだった自分に凄く期待してくれました。なのに、3年間全く結果を出すことができずに終わってしまいました。だからこそ、『1年でも早く大きな舞台に立ってみんなへ恩返しをしたい』とずっと考えていました。 控えの選手たちにも伝えたかったんです。『1年あれば変わることができるよ』って。控えだった自分が1年でNPBに入ることで、勇気や希望みたいなものを与えたいと思ったんです。だから1年でNPBに勝負できるところを探したんです」 恩師は谷口の熱意を汲み「自分が決めたことなら、頑張ってやりなさい」と背中を押した。彼が選んだ「1年でNPBに入る」道とは、四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスへの入団だった。谷口は名門・広陵から直接独立リーグに進んだ初めての選手となった。