現美80回、足跡と情熱に触れ 北國新聞社所蔵品、初の一堂展示始まる
●北國新聞交流ホール 「『現美』に生きた作家たち~北國新聞社コレクション展~」は10日、金沢市の北國新聞交流ホールで始まり、現代美術展の歴史に名を刻む作家の46点が一堂に会した。第80回を迎えた現美の巡回展を締めくくる企画で、本社所蔵品が一度に展示されるのは初めて。来場者は秀作の数々に見入り、美術王国石川を支えた作家たちの足跡と美への情熱に触れた。 同展は「ポスト国民文化祭」に位置付けられる「いしかわ秋の芸術祭文化絢爛(けんらん)」(実行委、石川県、一般財団法人県芸術文化協会主催)の一環で、北國新聞社、一般財団法人県美術文化協会、一般財団法人北國芸術振興財団が共催した。 現美の草創期を支えた洋画家・高光一也が昭和10年代に描いたとみられる油絵「収穫」は初めて一般公開された。宮本三郎、鴨居玲の洋画や長谷川八十の彫刻も並んだ。 工芸では蒔絵(まきえ)人間国宝の大場松魚が手掛けた「平文輪光箱(ひょうもんりんこうはこ)」や二代浅蔵五十吉が日本芸術院賞を受賞した「佐渡の印象」の姉妹作などが展示された。 県書美術連盟の中田飛泉副理事長は「先人がこれだけ素晴らしい作品を残したことを考えると身がすくむよう。そうそうたる作家の名品を一度に見られる機会なので勉強にも役立ててほしい」と話した。中田氏が会長を務める書道研究「彩霞社」の会員らも鑑賞した。 16日まで開かれ、開館時間は午前10時~午後5時。入場料は600円。 ■展示の本社所蔵品(五十音順) ▽二代浅蔵五十吉「佐渡之印象」▽三代魚住為楽「砂張銅鑼」▽円地信二「招かれた席」▽大樋陶冶斎「袋・子寿美」▽大場松魚「平文輪光箱」▽大場吉美「冬ごろもの家々」▽奥田憲三「菜の花の丘」▽鴨居玲「ポルトガルの娘」▽矩幸成「自由と正義の像」▽川北良造「槻造香盆」▽北出塔次郎「九谷陶板」▽北出不二雄「欅の村」▽北村脩「黄衣 里まり」▽木村雨山「フクロウ」▽国本克己「月花姉妹」▽小松芳光「富貴卓」▽小森邦衞「曲輪造金彩菓子器」▽塩多慶四郎「乾漆蓋物『香』」▽高橋介州「透かし彫象嵌盤」▽高光一也「収穫」▽瀧川眞人「雪の朝」▽武腰敏昭「色絵飾陶板『雄勇』」▽竹沢基「鉄線花」▽寺井直次「金胎蒔絵箱『曙』」▽三代徳田八十吉「燿彩飾壺『恒河』」▽中川衛「象嵌花器『夏雲』」▽中野孝一「あざみ文蒔絵八角箱」▽中村秀雄「初夏の手取川」▽灰外達夫「神代杉造木象嵌箱」▽端名清「サントリーニの夏」▽長谷川八十「鳥」▽畠山錦成「双鯉」▽羽根万象「女優」▽二塚長生「小千谷真綿紬地友禅帯『潟面』」▽堀忠義「犀川秋近し」▽前史雄「沈金漆箱『木漏日』」▽増田孝「回想’93」▽松本昇「裸婦」▽三谷吾一「青い空」▽宮本三郎「五月の流れ」▽村田省蔵「診療室の女医さん」▽山岸一男「沈金螺鈿箱『霜降る』」▽山岸大成「白き神々の座」▽山瀬晋吾「響」▽吉田冨士夫「催眠術」▽吉田美統「釉裏金彩牡丹唐草文壺」