猛暑でも甲子園開催あるのみ 世間が「札幌ドームを使え」と提言しても変わらない理由
異次元に暑い夏。テレビやスマホの画面には繰り返し「熱中症情報 極めて危険 外出を控えて 運動は中止を」とのメッセージが表示されています。 【動画】春の神宮で輝いた背番号3! 清原正吾の強打シーンをチェック しかし、この声がなかなか届かないのが、夏の高校野球です。酷暑の中でも地方大会は開催され、49地区の代表校が決定。8月7日からは甲子園球場で熱戦の火ぶたが切られます。 例年、夏の甲子園大会における「暑さ対策」は充実の一途を辿っています。昨夏からは5回終了後に「クーリングタイム」が導入され、選手たちはベンチ裏で10分間、クーラーや送風機が置かれた冷涼なエリアで休息できることになりました。 今年からは、開幕からの3日間について、気温が上がる時間帯を避け、試合を午前と夕方に分けて行う2部制の導入が決定。主催者側は補食の用意など、さらに熱中症対策を進めていく方針です。 ここで一つ疑問が浮かびます。様々な暑さ対策を講じなくても、ドーム球場を利用すれば、全ての課題は解決されるのではないか-。 SNS上では、北海道日本ハムファイターズがエスコンに本拠地を移転したことから、札幌ドームのスケジュールが空いている点に着目し、「夏の高校野球選手権大会を甲子園から札幌ドーム開催にすれば、全て解決できるのでは」との声も寄せられています。 しかしスポーツ紙のデスクは首を横に振り、こう語るのです。 「甲子園ではなくドーム球場へ、というのは高校野球の現場から遠い識者の意見でしょう。高校野球に携わる球児や指導者にとっては、『聖地』甲子園球場で戦うことに意義があるからです。クーラーの効いたドーム球場で涼しいからいいでしょう、という話ではないんです」 そして、こう続けます。 「阪神園芸の職人たちが精魂込めて整備した黒土と芝生のグラウンド。そして澄み渡る青い夏空。ブラスバンドの音色と声援が響くアルプススタンド。一度、足を踏み入れたら分かると思うんですが、あの世界観は甲子園球場でしか成立しないものです。当事者たちの強い希望がある以上、『会場をドーム球場に』というのは現実問題、選択肢に入らない。『甲子園でいかに安全に行うか』をさらに、模索していくことになるでしょう」 まずはこの夏、高校球児たちが熱中症などに苦しむことがないよう、安全な大会運営を願うばかりです。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]