石破総理再選 「年収の壁」に激震 手取りは増える?減る?
テレQ(TVQ九州放送)
先の衆院選を受けた特別国会が招集され、総理大臣を指名する選挙で決選投票の結果、石破総理が第103代総理大臣に選ばれました。 少数与党の石破政権。 野党との連携が国会運営のカギとなりますが中でも国民民主党がキャスティングボートを握っている状況です。国民民主党は所得税が発生する年収103万円、いわゆる「103万円の壁」を178万円に引き上げることで、手取りアップと働き控えの解消を訴えています。 福岡市東区のスーパーマーケット。40人以上がパートで働いています。「103万円の壁」引き上げについては。 エムズ美和台店 久松店長 「上げた方が働いている方の労働時間が伸びることになるので会社としてはいい話」 従業員 「(年末には)休みを増やしてもらうのもそうだし、時間数を減らしたりしている。金額が上がれば働きやすい」 一方で北九州市の花店ではこんな懸念も。 花の店コーヤ 神谷辰生社長 「103万円の壁って言われてますが、中小企業にはもっとほかの壁があるんです。それがものすごく大きな負担になる」 その大きな負担となる別の「壁」について、ファイナンシャルプランナーの白浜さんに解説してもらいました。 ファイナンシャルプランナー 白浜さん 「103万円の壁がありますがこれは所得税が103万円を超えるとかかるという壁。今回の案ではこれが178万円を超えなければ所得税はかかりませんということ。ただ注意をしておかなければいけないのがこの103万円と178万円の間に社会保険の壁というものがあるということです」 103万円の壁が引き上げられたとしても次に立ちはだかるのは106万円と130万円の壁。社会保険料の支払いが発生するのです。 「社会保険料はざっくり15%ほどが収入全体にかかると思ったらいい」 社会保険料が発生すると収入がどうなるのか。 例えば夫が会社員で年収が500万円。妻は従業員50人以下の企業でパートをしていると 仮定します。130万円の壁を超えないよう調整して年収128万円で働いた場合、手取りは124万円程度。一方で130万円の壁を超えて年収132万円で働いた場合、夫の扶養から外れ社会保険料の負担が発生し手取りは109万円に。年収でみると4万円の差ですが最終的な手取りは10万円以上も差が開き 働き控えにつながるのも納得です。 では、さきほどの花店の雇用主がなぜ負担が大きくなると口にしていたのでしょうか。 「社会保険料というのは労使折半と言って雇われている人雇っている人、それぞれ が半分ずつ負担するということになっている。同じように雇う側にも負担が生じるということなんですよね」 神谷店長 「手取りの分、これが結局、増えないと、働いている方々がやっぱり裕福にはならないというか、豊かにはならない。また経営サイドにしてみてもですね。社会保険料のかからない部分をですね、増やさないとお互い良好な関係っていうのはできない」 そしてこの社会保険の年収の壁で激震が走りました。 厚生労働省はパートなどの短時間労働者が厚生年金などの社会保険に加入する際の年収要件を撤廃し週20時間以上、労働する人が加入する方向で調整に入りました。例えば1日4時間以上、週5日働くと手取りが15%減る可能性があるのです。 これを受け雇用主は。 エムズ美和台店 久松店長 「それはちょっと勘弁してもらいたい。会社の方も負担しなくてはいけないのでできる限り負担がないようにしたい」 一方、パートで働く人は。 「ちょっと厳しいですよね。時間内に仕事が終わればいいが、終わらないこともある」 そもそも「103万円の壁」を撤廃する案は非課税枠を広げて手取りを増やそうというもの。にもかかわらず、この流れに逆行する案が出てきたことで、手取りは減るのか増えるのか、議論はさらに分かりにくくなっています。
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