2位じゃダメ?…「我々に2番手はない!」 かつて世界を制したパンスト製造機メーカー、電気自動車向けの素材加工で世界トップに
パンティストッキング製造器「ラインクローザー」で世界のパンスト生産現場を変革し、世界シェアトップに立った「株式会社タカトリ」(奈良県橿原市)。近年、繊維産業は衰退しましたが、「小さな巨人」と呼ばれた創業者・高鳥王昌のものづくり精神を生かして、電気自動車に使われる素材の加工で再び世界シェアトップを奪いました。2016年に社長に就任した増田誠氏に、常にナンバーワンを目指す企業風土と将来像について聞きました。 【動画】「世界中の女性のパンストを、うちの機械が作っていた」
◆創業者の精神が「骨粗しょう症に…」
――就任当時、どのような課題を抱えていたのですか? 高鳥が築いた「創造と開拓」の精神が、時代の流れとともに骨粗しょう症のように歪んできていました。 ものづくりの精神は数年持っても、長く継続させるのは非常に難しいと感じました。 何とか再生させようと、社長に就任した2016年からの10年間を「第2創成期」と位置づけ、ぐっとエネルギーをためて飛躍につなげたいと考えました。 ――当時の業績は良くなかったのですか? 悪くはなかったです。 ただ、以前に開発した製品の売り上げが反映されます。 将来の新しい創造と開拓の道が見えるかというと、難しい状況でした。 意識改革が必要でした。 ――具体的に、どういうことを始めましたか? 最初に手がけたのは、評価制度をはじめとする人事制度の改革です。 高鳥は、長年連れ添った技術者を重宝する側面がありました。 何かを作り出すとき、同じメンバーが必ず招集されていたのです。 固定されたメンバーで技術開発や事業運営が行われるはよくない。 労働に対する対価について、不公平感があってもいけません。 頑張る人を正当に評価する制度に改善しました。 何より大事なのはものづくりのマインドです。 高鳥がこよなく愛した言葉は「志ある者は事ついに成るなり」。 中国の後漢時代、大軍に勝利した将軍が皇帝から授けられたお褒めの言葉だそうです。 「何かを成し遂げたければ、強い意志を持たねばならない」という意味です。