三笘薫が振り返る“激動の2024年”:真っ先に語った長期離脱「腰のケガはネガティブじゃなかった」【現地発】
ブライトンでの新たな役割
攻撃と守備。アタッカーとしては可能なかぎり攻撃に比重を置いてプレーしたいのは当然だ。しかし、新監督からは守備のハードワークも求められている。 だが、こうした相反する2つの要素を三笘は決してネガティブには捉えていない。新監督の要求を前向きに考え、むしろ新しい戦術や知識を身につけることで自身の成長につながっていると力を込める。 「練習でもそうですし、試合の中でも色々な戦術的な知識や経験を身につけてきています。動き方やポジショニングで成長しているところはある。自分の中でもそれに気づいているので、良いことだと考えてます。もちろん守備をして失点しなければ、ブライトンは崩れないチームだと思ってます。そこをまず第一にやることが必要かなと思いますね。その上で(自分が)得点を決めれば問題ないと思いますけど、まだそこまでできてないと感じています」 そんな三笘がシーズン前半戦を通して課題として挙げていたのが「決定力」だった。惜しいシュートは何本もあったが、わずかに枠を外れたり、GKの好セーブに阻まれたりする場面は少なくなかった。シーズン前半戦は19試合に出場して(先発17試合)3ゴール。世界トップレベルのプレミアリーグでもドリブルは十分に通用し、鋭い飛び出しはブライトンの大きな武器になっているが、三笘本人は反省を口にする。 「シュートが『惜しい』だけでは全く意味ない。決め切ることが大事。コンディションは上がってきていると思うので、これから結果に結びつけるプレーをしないといけないですね」
日本代表のウイングバック
ブライトンでは新監督の下で様々な学びを得つつ、結果の部分で課題を感じていた三笘。それでは、日本代表での1年間はどのように考えていたのだろうか。 森保一監督は、6月のワールドカップ・アジア最終予選のミャンマー戦(5-0)から本格的に攻撃的な3バックシステムを採用。9月からの6試合全てに出場した三笘は、3-4-2-1の左ウイングバックでプレーする機会が多かった。代表チームは最終予選で5勝1分け、22得点2失点と圧倒的な強さを見せているが、三笘も新システムに手応えを感じている。 「後ろ(DF)に高さがあるので、その分、距離感もいいですし、空中戦に対する自信も増えていると思う。(自分を含めた)ウイングバックがいかに攻撃参加するかで(攻守の比重が)変わってきます。中盤も“うまい”選手ばかりです。ハマっているフォーメーションだとは思いますけど、(その布陣にこだわることなく)色々な形でやっていかないといけないと思います」 三笘個人の役割を見ると、やはりブライトンとは大きく違う。クラブでは4-2-3-1の左ウイングであり、ヒュルツェラー監督に要求される守備のタスクに応えているとは言え、日本代表でプレーするウイングバックほど最終ラインまで下がって守備をする機会は多くない。代表チームでは必然的に上下動する機会が増加することによって、総合的な走力や守備時のデュエルの部分はより必要になってくる。 それでも、三笘にとってこうした役割は初めてのことではない。レンタルで在籍したベルギーのユニオン・サンジロワーズや、ブライトン在籍1年目のグレアム・ポッター監督時代にも同じポジションでプレーしていた。本人も「WBの経験は感覚として残っているので、日本代表でもやるべきプレーは整理されてきています」と語り、完璧とは言わないまでも、キャリアを通じて積み重ねてきた経験が日本代表でも活かせているようだった。