80年代はシティポップだけじゃない! 音楽評論家・田家秀樹&スージー鈴木が迷わず選ぶ「殿堂入りすべきアーティスト」
スージー 『元気です。』に入っている「高円寺」っていう短い曲はフォークギターでやってるんですけど、これはジェームス・ブラウンだなと思って。 田家 そうですよ。そうそう。 スージー この前、中村正人氏(Dreams Come True)が僕のラジオ番組にゲストで来られたときに、「吉田拓郎が好きだ」とおっしゃっていて。『伽草子』の「からっ風のブルース」はリズム&ブルースだと思うって言われてました。彼も吉田拓郎大好きで、同じようにフォークじゃない、吉田拓郎は吉田拓郎というジャンルだって。その辺が全然語られてない。 田家 昔、FM東京で拓郎さんの番組の構成をやっているときに、中村さんも番組をやっていたんです。収録日が同じだったので、中村さんは必ず挨拶に来てました。本当に拓郎さんが大好きで、心酔しているという話はずいぶんしてましたね。 スージー 話は飛びますけど、グラミー賞で歴史的な音楽家をリスペクトするコーナーとか、亡くなった人を弔うコーナーが僕は好きなんですけど、そういうものが日本にはないのかなって。例えば、あいみょんは「浜田省吾が好きだ」と言っていて、その浜田省吾は吉田拓郎が作った広島フォーク村と関わりがあったとか、昔と今の音楽をつなげる話をする装置がないのは良くないと思っていて。 田家 僕はそういう存在になりたいんです。それだけでやってましたよ。 スージー つなぐ人になりたいってことですか? 田家 FM COCOLOで2014年から「J-POP Legend Cafe」という、日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当てて、本人や関係者と話して掘り下げていくという番組をやっているんですけど、僕はひとりで「ロックの殿堂」「J-POPの殿堂」を作りたかった。50歳を過ぎた頃くらいからずっとそう思っているんですよ。 もし自分で殿堂を作るとしたら、この人は入れたいなとか、この人は将来入ってくるなとか、そういうミュージシャンと仕事したいという思いはいまだにありますね。 ――この場で田家さんとスージーさんが殿堂入りを選ぶとしたら、第1回受賞者は誰になりますか?