熊野とどう関わり続ける 関係人口講座の成果発表、和歌山県田辺市
和歌山県田辺市の関係人口養成講座「熊野リボーンプロジェクト」第5期生の成果発表が24日、オンラインであった。「熊野と自分の絆の形」がテーマ。古道ツアーや地元愛の育成など、それぞれが等身大のプランを披露した。 【古道を歩き考える 熊野の景観保全「応援団」 和歌山の記事はこちら】 熊野の文化的景観を形成する里山の営みが、過疎、高齢化などで危機を迎えている。リボーンプロジェクトは、地域の暮らしと関わりながら歩く低山トラベラーを対象に2020年度に創設。5期生は12人で、7月に現地実習で熊野古道を歩いた。 神奈川県の60代女性医師は自身が古道を歩いたデータを基に、1日5時間で8キロの歩行が最適と分析。通常1泊や2泊で歩く中辺路滝尻王子―熊野本宮大社を7泊8日でゆっくり巡る旅を発案した。「歴史や民話を現地で学び、体感する。地元グルメも堪能する。地元の人との触れ合いも重視したい」と話した。 愛知県の50代女性パートは「熊野の人々の地元愛に触れ、自身の地元愛を育む活動を始めた」という。熊野との関わりについては「山野を駆けるトレイルランが趣味で、古道での大会はないが、近い地域での大会に参加するたび、熊野を訪れたい」と語った。 大阪府の60代男性会社員は「熊野に歩きに行くのでなく、遊びに行く」と宣言。「これまで通過点で足を止めることはなかったが、熊野は歩く途中が楽しい。外から見ているより、地域の中に入って人と関わる方が楽しい」と田辺市本宮町から発表に参加した。 発表を見守った真砂充敏市長は「毎回、新しい視点、発想をもらえる。まちづくりのソフト面でヒントになる。学びは旅のキーワードになる。関係人口づくりは、地元愛創出にもつながると感じた。今後もさまざまな人に関わってもらいたい」と話した。
紀伊民報