相次ぎ情報漏えい発覚の保険業界、こうなることは不可避だった構造上の問題
生保業界との違いと共通点
生保業界は、損保業界と若干様相は異なる。必ずしも出向者が情報漏えいに関わっていないケースもあるという。 大手生保がシェアや販売動向を把握するために代理店から受け取ったデータの中に、他社生保の顧客データがそのまま残っており、情報漏えいに発展したというケースだ。 大手生保各社はマスコミなどの取材に対し、損保とは異なり、営業活動などを目的とした情報漏えいについては否定している。その理由は、自動車保険のように1年ごとに契約更新が訪れる損保商品とは異なり、数年から数十年単位でしか契約更新のタイミングが来ない生保には、他社の顧客情報を得たとしても、自社への乗り換えを他社の顧客に勧める機会が極めて限られるからだ。 その一方で、ある大手生保の営業幹部は 「もともとは(損害保険会社が親会社である)損保系生保で、代理店に出向した社員が他社生保の情報を出向元に流していたようだ。特に経営者向け定期保険などの法人契約では、他社の情報は喉から手が出るほど欲しいはずだ」 と証言する。だとすれば、仕返しとばかりに別の生保が代理店への出向社員経由で、他社の顧客情報を得て営業活動に利用していた可能性も考えられる。
宮里秀司