氾濫する恐れ…1万人に緊急安全確保が出された川越市、54の小中学校が臨時休校に「窓から見える雨すごい」 自宅2階へ垂直避難、防災無線で呼びかけ 突風で屋根破損など22件 大雨警報の川口市、道路が冠水
台風10号の影響を受け、県内では29~30日にかけて大雨が続いた。川越市が30日未明、警戒レベル5の「緊急安全確保」を発令し、緊張が走った。県内の各自治体が避難所を開設し、住民は一時、身を寄せた。大雨の予報が出ていることから、自治体職員らは「今後に備えたい」と話した。 警報が発令された市町一覧の表画像 大雨警報など区分け レベルに応じ色分けも【画像2枚】
川越市は30日午前3時過ぎ、近くを流れる川越江川が氾濫する恐れがあるとして、寺尾地区の約1万人に緊急安全確保を出した。 市が設置した避難所の一つの市立寺尾中学校には、30日午前1時ごろから、高齢者を中心に住民数人が身を寄せ、早朝になって帰宅した。市内54の小中学校では同日に2学期の始業式が予定されていたが、臨時休校となった。避難所の運営に当たる市の担当者は「窓から見ると雨がすごかった。暗い状況の中で高齢者も不安に思うだろう」と話す。 寺尾地区に住む70代女性は午前3時ごろ、住宅2階に上がるよう呼びかける防災無線を聞いた。「貴重品や水をリュックに入れ、できる範囲で避難の準備をした」と振り返る。「また避難の情報が出たら寺尾中学校に行こうと思う」と話す。31日以降も雨の予報が続く。住民男性(76)は「今後は分からない。待機状態だ」と語った。 市によると、市内では30日正午時点で床上1件、床下4件の浸水被害が確認され、うち床下2件が寺尾地区だった。川越地区消防組合によると、大中居地区では、突風による屋根の破損などが22件あったという。
比企地域では29日夜、5市町で「大雨警報」が発表された。東松山市は午後9時過ぎ、市内の九十九川、市野川の「水位の上昇」が確認されたため警戒レベル3の「高齢者等避難」を発令、行政無線や市ホームページ、メールなどで周知した。午後4時過ぎには、松山市民活動センターなど7カ所に自主避難所が開設され、市民ら計29人が避難し、未明までには引き揚げた。市危機管理防災課の担当者は「(気を引き締めて)今後に備えたい」と話していた。 鳩山町では、大雨警報発表の直後、今宿コミュニティセンターなど3カ所の避難所を開設した。計4人が避難したが、午前0時ごろには引き揚げた。現時点で被害の報告はないという。 川口市内には29日午後8時37分、大雨警報(土砂災害)が発表、同10時31分には洪水警報も発表され、継続して注意を呼びかけている。 同10時48分には神根、新郷、安行、戸塚、鳩ケ谷の各地区の160世帯232人に高齢者等避難を発令。各地区内の公民館計7館を避難所として開設した。市危機管理課によると、30日午後2時時点で新郷公民館に1人が避難しているという。
市内では30日午前0時半ごろ、東川口地区の1カ所で道路冠水が確認されたが、すぐに解消し、住家を含め大きな被害は確認されていない。市は警戒状況や避難所の開設状況を市ホームページなどで発信しており、同課の担当者は「台風はこれから近づきつつあるので、引き続き警戒を呼びかけていく」としている。