【神宮大会】なぜ、広島商は2度追いつかれながらも勝ち切って決勝に進めたのか
「むしろ、ウチのペースかな、と」
なぜ、2度追いつかれながらも、勝ち切れたのか。9回土壇場で同点とされても、広島商高ベンチは沈まなかった。荒谷監督は明かす。 「彼らはタフな部分があって、落ち着いていた。むしろ、ウチのペースかな、と」 1万人の観衆が見守る中で踏ん張れた要因は何か。チャレンジャー精神にある。 広島商高は今夏の広島大会で2年連続準優勝。決勝では、いずれもライバル・広陵高に惜敗した。新チームは野手2人(一塁手・小田健登、主将で二塁手・西村銀士)が残ったのみで、投手は総入れ替えだったという。 「ウチは夏の選手権からの逆算でチーム編成をしているんです。その過程の中で、この秋は、明治神宮大会出場を目指してきました。広島大会、中国大会を通じて素晴らしい相手校さんとの対戦を通じて、一戦一戦、成長させていただいています」 決勝は甲子園で春3度、夏2度の優勝を誇る横浜高が相手である。 報道陣から横浜高でマークする選手を問われると荒谷監督は「全選手。投手2人も良いですし、野手も素晴らしい」と答えた。 相手を見るよりもまず、自分たちの野球が展開できるかにフォーカスする。 「今大会も良いチームと対戦させていただいている中で、広商も成長させてもらっている。チャンスですのでどん欲にいきたい。今できる広商の野球をやる。1球1球、全力でできるように準備するだけです」 広島商高は春1度、夏6度の優勝実績がある。最後の全国制覇は昭和最後の1988年夏。春22回、夏23回の全国大会出場があるが、平成以降は春5回、夏2回とかつての黄金期から比較すれば苦戦が続いている。多くの広島県民が「古豪復活」を心待ちにしている。OBの荒谷監督は伝統を継承しつつも、新たな道を模索し日々、丁ねいに指導。心を込めた「令和の精神野球」を、後輩につないできた。 長く高校野球界をけん引してきた名門校同士の頂上決戦は11月25日(10時試合開始)、神宮球場で行われる。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール