先月のアジア株式市場は「おおむね上昇」…株価の押し上げ要因は?アジア・マーケット動向を振り返る【解説:三井住友DSアセットマネジメント】
中国<マクロ経済動向>
⇒需要不足が継続。 ◆製造業PMIが引き続き50割れ 製造業PMIは2月に市場予想をやや上回り、49.1となった。ただ、需要不足を背景に引き続き50割れである。春節休暇に伴う従業員の帰省などで人手不足が顕在化し、配送時間が通常より長期化したこともあり、製造業PMIは押し上げられたが、この要素を除けば製造業PMIはもっと低かったと推察される。また、製品価格指数が引き続き50割れとなったことから、多くの製造業では原材料費用など調達コストが上昇しても、製品価格に転嫁することが難しい状況が続いている。この点が製造業発の低インフレをもたらしているとみる。 ◆住宅価格の下落基調が続く 国家統計局が取りまとめている70都市の新築・中古住宅価格をみると、1月も新築・中古双方ともに引き続き下落した。住宅価格の下落基調が長期化することによって、家計部門の資産価値が目減りし、需要不足をもたらす構図が今後も続きそうだ。 ◆5%前後の成長率を目指す 政府は全人代の政府活動報告で、実質GDP成長率を2023年と同じ5%前後に設定した。政府は2022年12月までゼロコロナ方針を続けてきたため、2022年の実質GDP成長率は3.0%とベースが低かったが、2023年の成長率は5.2%とベースが高くなったため、2024年の成長率目標は難度の高い設定と言えるだろう。 2023年の財政赤字の実績は特別国債1兆元を参入した補正予算を踏まえてGDP比3.8%と当初目標の3%から拡大した。2024年の目標は同3%であるが、特別国債1兆元、地方専項債3.9兆元も合わせたベースでファイナンスすべき財政規模を再計算すれば、そのGDP比は2023年実績値に近い数値となり、2023年3月の全人代で発表された数値と比較すると、明確に財政政策は強化されている。一方、低インフレによる名目GDPの下振れリスクは歳入欠陥リスクを高めやすい。 (2024年3月7日) 石井 康之 三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフリサーチストラテジスト ※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。 ※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。 ※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『先月のアジア株式市場は「おおむね上昇」…株価の押し上げ要因は?アジア・マーケット動向を振り返る【解説:三井住友DSアセットマネジメント】』を参照)。
石井 康之,三井住友DSアセットマネジメント株式会社
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