同じ薬なのに、いつもと違う薬局に行ったら「120円」高かった! 全く同じ薬なのに、なぜ「薬局」によって料金が違うの? 処方薬の値段や薬局の選び方について解説
病院や診療所でもらった処方箋は、原則全国どこの薬局でも受け付けてもらえます。病院の近くにある薬局に持って行く人もいれば、顔なじみの薬局(いわゆるかかりつけ薬局)に持って行く人、毎回なんとなく選ぶ人など、さまざまでしょう。 ただし、全く同じ薬を同じ数量だけもらっても、料金が異なる場合があるということをご存知でしょうか? これは薬局によって「調剤基本料」が異なるためで、場合によっては100円以上の差が出ることもあります。 本記事では、薬局で薬をもらうときにかかる「調剤基本料」を中心に、処方薬の値段や薬局の選び方について解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
調剤基本料は7種類あり、薬局によって異なる
処方箋を薬局に持って行き、お薬をもらう際に発生する調剤基本料は、図表1の通り5項目、点数区分で見ると7種類あります。 図表1
日本薬剤師会 調剤報酬点数表(令和6年6月1日施行)より筆者作成 例えば、普段、調剤基本料の点数区分が5点の薬局で薬をもらっている人が45点の点数区分の薬局に行くと、いつもより40点高い調剤基本料を支払うことになります。なお、医療保険において1点は10円です。40点は400円となるため、医療費が3割負担の場合で120円、1割負担で40円の差が出ます。 調剤基本料を決めるのは、薬局の「処方箋の受付回数」、「集中率」、「同一グループ(同じ会社が経営する薬局)の保険薬局の処方箋受付回数」、「医療機関と同一敷地内にあるかどうか」です。 なお、集中率とは、ある薬局において「特定の保険医療機関に係る処方箋の受付回数を、当該期間に受け付けた全ての処方箋の受付回数で除して得た値とする」と定義されています。 以下のように計算します。 1. ある薬局において、月に1000回処方箋を受け付けたうち、A病院(特定の保険医療機関)の処方箋受付回数900回、B診療所の受付回数80回、その他の医療機関の受付回数20回の場合、集中率は「900回÷(900回+80回+20回)×100」で90% 2. ある薬局において、月に1000回処方箋を受け付けたうち、Cクリニック(特定の保険医療機関)の処方箋受付回数400回、D耳鼻咽喉科医院の受付回数300回、E病院の受付回数200回、その他の医療機関の受付回数100回場合、集中率は「400回÷(400回+300回+200回+100回)×100」で40% 図表1を見ると、処方箋の受付回数が多い、集中率が高い、もしくはグループで多くのお店を持っている薬局は調剤基本料が安くなる傾向にあることが分かります。 逆に、受付回数が少ない、集中率が低い(特定の病院や診療所の前に立地しておらず、さまざまな病院・診療所の処方箋を受け付けている)、グループのお店がないあるいは少ない薬局は、調剤基本料が高くなる傾向にあります。 例えば、「同一グループの処方箋受付回数の合計が月4万回超~40万回超のグループ」に所属している薬局Aと薬局Bがあったとして、薬局Aは集中率90%(上記の1に該当)、薬局Bは集中率40%(上記の2に該当)だとします。 この場合、薬局Aは「調剤基本料3(イ)」に該当し調剤基本料は「24点」、薬局Bは「調剤基本料1」に該当し調剤基本料は「45点」となります。このように、同様の規模感のグループに所属している薬局でも、集中率が低い方が調剤基本料が高くなることが分かります(保険医療機関と特別な関係を持っている場合や届出を行なっていない場合を除く)。