フェンスを乗り越えた67歳の韓国国会議長…戒厳無効導いたリーダーシップ
4日未明、国会が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の電撃的な非常戒厳令を阻止する過程では、市民と野党関係者の努力に劣らず、彼らの力を一つにまとめたウ・ウォンシク国会議長のリーダーシップが目立ったと評価されている。尹大統領が3日夜、非常戒厳令を宣布した直後から、国会の司令塔として表決のために議員を集め、決断力を持って危機管理に取り組んだためだ。 尹大統領が3日午後10時25分頃、「破廉恥な従北(北朝鮮追従)反国家勢力を一挙に撲滅し、自由憲政秩序を守るために非常戒厳を宣布する」という緊急談話を発表した時、ウ・ウォンシク議長はソウル漢南洞(ハンナムドン)の国会議長公館で休んでいたという。翌日の4日、本会議でチェ・ジェヘ監査院長、イ・チャンス・ソウル中央地方検察長の弾劾訴追案など、注目を集める案件の議決が予告されていたため、いつもより落ち着いた夕方を過ごしたものとみられる。予想だにしなかった尹大統領の非常戒厳宣布の知らせをキム・ミンギ国会事務総長から聞いた後、ウ議長はすぐに着替えて急いで国会に向かった。 ウ議長側の対応は素早く、また冷静だった。ウ議長と参謀たちは戒厳令を解除するには国会の議決が必要であり、そのためには議長の身辺警護が最も重要だと判断した。ウ議長が国会正門から入った場合、警察に連行される可能性があるとみて、比較的目立たない側のフェンスを乗り越えて国会に進入した。ウ議長は「議員たちが集まって集会を開けば、そこが国会だ。直ちに本会議を招集する」とし、国会本会議場が戒厳軍に掌握された場合でも、在籍議員の過半数(150人)さえ集まれば、戒厳令を解除できるという自信をのぞかせた。 国会に到着したウ議長は、カギとなる可決定足数を越えてから、本会議場に姿を現した。本会議場を埋めた議員たちが戒厳軍の進入を懸念し、「早く表決しよう」と求めたが、ウ議長は「国会が定めた手続きに誤りがないよう進めなければならない」として「慎重に慎重」を期した。国会関係者は「もし問題が生じた場合、後で尹錫悦大統領側が手続きを問題視して反撃する可能性があるとみたため」と述べた。 ウ議長はこの日、尹大統領が戒厳解除を宣言した後も「事態が解決されるまで私は公館に退勤せず、国会執務室で非常待機する」と述べた。さらに「国会本会議など緊急な懸案を除く日程も全面取り消し」にした。行政府が国民の信頼を完全に失った状況で、進んで戒厳政局の野戦司令官となったウ議長の「戦時リーダーシップ」が浮き彫りになった瞬間だった。 オム・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )