旅館・ホテル〈しつこいカスハラ客〉の宿泊拒否が容易に…ガマンしていた不当な割引強要、謝罪要求等にNO!「改正旅館業法」の実際【弁護士が解説】
クレームのすべてが「カスハラ」にはならない
なお、旅館・ホテル側で少しだけ注意が必要なのは、「原則として宿泊拒否をしてはならない」という構造自体は改正でも変わっていない点と、不当な要求がなされた場合でも「その要求には応じられないが、宿泊自体は拒まない」ことを伝えるというワンクッションが必要とされている点です。 また、カスハラと「正当なクレーム」はしっかり区別し、旅館・ホテルにとって耳が痛いクレームであっても、正当な要望である場合もあることは注意が必要です。 旅館業法の規定に違反して宿泊拒否をしてしまった場合、旅館・ホテル側には、 (1)宿泊申込者に対する損害賠償責任(民法709条) (2)50万円以下の罰金(旅館業法11条) (3)行政機関からの指導 など、大きく3種類のペナルティが生じる可能性があるので、この点も注意が必要です。
今回の旅館業法改正は、旅館・ホテル、宿泊客双方に好ましいもの
今回の旅館業法改正は、旅館・ホテル側にとっては「宿泊拒否ができるケースが明確になった」ことで大きな意味を持ちますし、お客側でも「自分も行き過ぎた行為をしないように気を付けよう」という再確認ができるもので、双方にとって好ましいものだと思います。 これをきっかけに、日本の宿泊・観光業がますます発展していくことを願いたいと思います。 佐山 洸二郎 弁護士法人横浜パートナー法律事務所
佐山 洸二郎
【関連記事】
- 「もう家族すら信じられない」総資産1.6億円の80歳・元敏腕経営者、理想の高級老人ホームへ入居で〈老後の絶頂〉も…実家寄生の55歳・次男に突き落とされた悲劇【FPが解説】
- 年金17万円、父を亡くし豹変した76歳母を「老人ホーム」へ入居させるも…「実家」をめぐって50代の息子ふたり、疲労困憊のワケ【CFPが解説】
- 3,100万円で買ったマンション「隣人が最悪」だった…隣人の存在を“告知しなかった”仲介業者に「損害賠償請求」した結果【弁護士が判例解説】
- 平均年金月14万円だが…「年金月0円」で「生活保護月12万円」の75歳男性、さらに「要介護」のどん底
- 「家賃より安いから」→まさかの事態で破産危機…世帯年収950万円の30代夫婦が戦慄した「住宅ローン返済額」【FPの助言】