JR南武線“ナゾの途中駅”「武蔵溝ノ口」には何がある?
階段を登って改札を抜けるとたくさんの人の流れが…
地上のホームから階段を登って橋上駅舎の改札を抜ける。たくさんの人の流れに身を任せれば、そのまま北口のペデストリアンデッキに出て、流れ流れてそのままデッキで連絡する東急田園都市線の改札へ。乗り換えに使う人が、いかに多いのか。この駅にやってきていちばんに実感するのはその点である。 ただ、デッキを取り囲んでいるのはふたつの駅ばかりではない。田園都市線の駅とは反対側を見れば、マルイの看板を掲げた大きな商業ビルが見える。 NOCTY(ノクティ)と名乗るビルで、マルイが入るノクティ2と多くの専門店が入るノクティ1から構成される、武蔵溝ノ口駅前のシンボルだ。なんでも、武蔵溝ノ口、人呼んで「のくち」。それをもじってノクティなのだとか。
賑わいの絶えない「ポレポレ通り」を東に歩く
デッキで直結するノクティの前を抜け、ペデストリアンデッキから降りて町中へ。ノクティの脇を通る「ポレポレ通り」と名付けられた道筋は、これまた実に賑やかな商店街だ。かつては長崎屋だったというドン・キホーテを中心に、飲食店からゲームセンター、金融機関まで、ありとあらゆる店や施設が並んでいる。 平日の昼間から人通りが途切れない賑わいぶりからは、この武蔵溝ノ口という町の持つパワーが感じられる。そんな道の真ん中でキャッチボールをしている若い男女を見かけたんですが、あれは何だったんでしょう。 それはともかく、ポレポレ通りの賑わいぶりは田園都市線のガード下、さらにガードを潜って田園都市線の西側にまで続いている。東は東でかなり長く、東西にぐーっと延びている中心繁華街といったところだ。駅の近くには川崎市高津区役所もあり、まさに川崎市中部の核というのにふさわしい活気に満ちている。 ポレポレ通りを東へ歩き、駅前から少し離れてみよう。
5分ほど歩いて賑やかな商店街から外れると、イトーヨーカドーに巨大なマンションが見えてくる。その周囲も住宅地だ。ふたつの路線が交わる駅を中心に、近くには大きな商業ビルと賑やかな商店街。少し離れたら住宅地へ。 住宅地の中には、西から東へと小さな川も流れている。これが町にほどよくのどかさを加えていて、実にバランスの取れたベッドタウンといっていい。少し都心から離れているきらいもあるが、交通の便なら申し分はない。それでいて、武蔵小杉などと比べればいくらか庶民的な印象も抱く。暮らしやすさという点でもケチのつけどころがなさそうだ。 この町は、いつからこのような姿になったのだろうか。話は、鉄道がまだ開業するより前の時代にさかのぼる。