最低保証からのスタートも困難は上等、NBA挑戦への決意を語った河村勇輝「最高の自分でいられるように毎日ハードワークしたい」
横浜BCファンへ「『さようなら』っていうメッセージにはしたくないです」
NBAのコートに立つまで、それなりに時間はかかると思っている。来シーズンは自分の力量を周囲に知ってもらう年とし、「2年目、3年目には、必ず自分の真価を発揮しなければいけないと思っている」と話し、常に毅然とした様子で取材に応じた河村だったが、「横浜のファンに伝えたいことは?」という質問への受け答えにだけ、多少の心の揺れが感じられた。 「横浜は大好きな街で、ファン、ブースターのみなさんの前でプレーすることは自分にとって本当に最高の時間、幸せな時間でした。心残りがあるとすれば優勝したかった。それが純粋な気持ちです。自分勝手な夢…で……ビーコルを去ることに申し訳ない気持ちもあるんですけど、僕は23歳で若いですし、ビーコルで優勝するというチャレンジもまだまだ可能性はあるわけで。なので、『さようなら』っていうメッセージにはしたくないです」 会見に同席した白井英介代表取締役兼GMは、河村の離脱について「クラブとしては非常に苦しい」と率直に述べた後、「挑戦を全力でサポートし、今以上に大きくなって横浜に帰ってきてくれるということを強く期待しております。そして、その時に彼を迎え入れられるような力強いクラブになっていることを、彼と約束いたしました」とした。 河村は2年ほど前から、ことあるごとに「自分は若くない」という言葉を口に出すようになった。昨今の国際バスケットボール市場を鑑みればこの認識は決して尖ったものではないが、河村の上記の言葉のとおり、現代人の年齢として見れば間違いなく若いのだ。 日本バスケットボール界が育んだスターは、さまざまな人の期待を背負いつつも自分だけの航海をひたすらに進んでいくだろう。彼がこれまでの人生で備えた様々な力を信じ、その過程をおおらかに見守っていきたいと感じさせられた会見だった。
青木美帆