「神の子」から「神童」へ託された言葉。那須川天心の決意とKID氏への思い
先日、入場曲に使うほど心酔する矢沢永吉の東京ドーム公演を見に行った。那須川を見つけたファンに次から次に「永ちゃん。使っているよね?いいよね!」と声をかけられ「嬉しかった」という。 「パワーをもらった。ロックだなと。独りでドームを埋めちゃう。みんなが(永ちゃんに)なりきっている。僕もそういうブームを起こしたい」 ロックのカリスマが発する熱量と東京ドームという大舞台に感じるものがあった。 今回のチケットは爆発的な勢いで売れ、これまでは幕を張って客を入れなかった席を開放して、さいたまスーパーアリーナの舞台設定を変えることになった。それを「大きくするらしいが、想像がつかない。見てみないとわからない」と言うが、初めて登場した際「やべえ」と思った格闘技の聖地が、「最近は、慣れて小さく感じるようになってきた」。だから「もっと大きいところ(ドーム)でやっていきたい」という欲が生まれてきた。いつか東京ドーム興行を実現させ、そのメインを張るには、ここで立ち止まることはできない。 この試合には「キックを広めたくて、この世界に入った。リスクがある試合。負けるとキックボクシングダメじゃんとなる。そう思われたくない。がっかりさせないように、やっぱり(キックは)凄いと思わせたい」との使命もある。キックルールは、天心のフィールド。アドバンテージになることは間違いないが、有利と言われるほどに背負うものが大きくなる。 「これ以上のカードがあるのか、これで終わるんじゃないか、とも言われていますが、それはない。ここから生まれるものがある。新しい物語が生まれてくると思う、ここからじゃないですか」 9.30は、新しい物語が誕生する日――。那須川天心の名言がいかしていた。