全国初“タワマン空室税”神戸市検討 市長「晴海フラッグにしない」
神戸市が全国で初めてタワーマンションの空き部屋に課税する検討を始めました。導入に前向きな市長は、「東京の晴海フラッグのようにはしない」と強く訴えています。 【画像】“空き部屋”に課税検討 高層階ほど多く
■“空室税”に前向きの市長
10日の神戸市長の会見。 神戸市 久元喜造市長 「空き部屋の発生の増加を抑制する。そのための方策として、法定外の税の創設を提言していただいている。この問題意識は正直、私も共有致します」 久元市長が前向きな発言をしたのは、市中心部のタワーマンションの部屋が空室になっている場合、所有者に税の負担を求める制度の検討です。その理由を、こうコメントしました。 久元市長 「東京の選手村の跡の『晴海フラッグ』ですよね。かなりの部分が投資目的に購入されて、居住目的の人が手に入らない。『晴海フラッグ』のような街には神戸はしない」 東京都心の臨海部に位置する「晴海フラッグ」。 去年5月に“街開き”が行われましたが、午後10時ごろに行ってみると、電気がついている部屋は“まばら”。 番組が登記情報を元に持ち主を調査すると、ある1棟では、150戸のうち4割以上(62戸)が「法人名義」になっていました。つまり、住む予定のない“投資目的”の業者によって多くの部屋が購入されている可能性があるのです。 実際、神戸市内に建つタワーマンションでも、30階から39階までで21.2%、40階以上では33.7%が住民登録のされていない、いわゆる「空き部屋」でした。
■管理できず廃虚化?SNSでは批判も
先週、神戸市長にタワーマンションの「空室税」の導入を提言した有識者会議の上村敏之座長は、こう話します。 関西学院大学 財政学 上村教授 「住んでいない方がマンション管理に積極的に関わることは考えられない。適切にマンション管理できなくて、報告書では最終的に『廃虚化するのではないか』と」 2020年から条例によって市中心部でのタワマン建設を規制してきた神戸市。低層階と高層階で所得水準が違うため「住民の合意形成が難しくなる」こと、周辺にある小学校のような「子育て施設が不足する」ことなどがその理由です。 今回は、さらに踏み込むことで、課税を嫌った投資目的の購入者が部屋を手放し、居住目的の人が適正な価格で購入できるようにしたいという狙いがあります。 しかし、SNSでは批判の声もみられました。 SNSのコメント 「空室税なんてとんでもない」 「空室税を取ったら、家賃の値下げバトルが始まって、不動産の価値が下がる」 神戸市では来年度から本格的に検討を始める予定ですが、「空室」をどう定義するのか、「固定資産税」と二重課税になってしまわないか、といった課題は多くあります。 上村教授 「総務省の同意が必要、議会も通さないといけない。日本で初めてのケースなので総務省が認めるかどうか、まだ分からない」 タワーマンションの問題は都市部で共通する部分もあるため、神戸市で導入されれば、全国に広がる可能性があります。 上村教授 「例えば『宿泊税』はどこかの自治体が導入して今結構、全国に広がっている。(空屋の)独自課税が導入されたら、他の自治体が判断して、どんどん導入することは起こり得ると思う」 (「グッド!モーニング」2025年1月14日放送分より)
テレビ朝日