ニンテンドーミュージアム内覧会リポート。任天堂の歴史が丸わかり。過去に発売した製品と最新技術を融合させた体験できる展示も魅力的
2024年10月2日にオープン予定の任天堂の資料館“ニンテンドーミュージアム”。オープンに先駆け実施された報道関係者向けの内覧会のリポートをお届けする。 【記事の画像(120枚)を見る】 入口からワクワクが止まらない! 遊び心の詰まったエントランス 記念品にもなる入館証 入場時には、マリオのイラストの描かれた入館証が発行される。入館証には名前、入館日、入館時刻が記載されており、これだけでも記念になること間違いなし。なお、表面のイラストは自身のMiiに変更することも可能。詳細はニンテンドーミュージアムの公式サイトに記載されているので、気になる人はそちらをチェックしてほしい。 入館証。左が表面、右が裏面。 建物に入るまでも見どころたっぷり 入場口を進み建物に入るまでの道中も見どころたっぷり。ハテナブロックや土管、ゴールポールに掴まるドットのマリオなどに加えて、ゲームボーイとピカチュウが描かれた“ポケふた”(※)、カービィの自動販売機(じはんきほおばり)などなど、さまざまな場所からこだわりが感じられる。 ※“ポケふた”は、ニンテンドーミュージアム敷地内に設置されているため、入館した人しか見ることができないので注意。 足元をよく見てみると、キラーやジュゲムといったキャラクターたちが描かれている。 上空から見ると……。 傘立てもよく見てみるとゲームボーイ!? キノピオたちと宮本茂氏のサインがお出迎え 展示エリアがある‟第1展示棟”に入ると、キノピオたちがお出迎え。キノピオの頭に触れると声を出す仕掛けとなっており、全員に触ると合唱してくれる。なお、キノピオの近くにはマリオの生みの親‟宮本茂氏”のイラスト入りのサインも展示されている。 エントランスにはドンキーコングの姿も。 さらに先に進むと任天堂ハードで発売された作品のキャラクターたちが描かれた巨大な壁面が登場。 おなじみのキャラクターたちがずらりと並ぶ。圧巻! 任天堂の歴史を振り返りながら思い出話に花が咲く展示エリア 展示エリアの入り口には歴代ハードのシルエットが映し出されている。しかも、各ハードの起動音が順番に流れており(ファミリーコンピュータはディスクシステムの起動音、スーパーファミコン、バーチャルボーイ、ニンテンドウ64の起動音はなし)、気分を高めてくれる。 そして、その先のエスカレーターを登るといよいよ歴代ハード&ソフト、花札やトランプなどが展示されているエリア(第1展示棟 2階)。ソフトは日本版、北米版、欧州版が展示されており、地域ごとのパッケージデザインの違いなども楽しめる。 筆者は12歳離れた編集長の世界三大三代川と展示を見ていたのだが、「あー、このソフト好きだった」、「このころはまだ小学生だったので記念日にしかゲームを買ってもらえなかった」、「このゲーム、雑誌の懸賞で当たった」、「このハードから仕事として関わり始めた」などなど、仕事を忘れて(?)、思い出話で大盛り上がりだった(このエリアに1時間ほど滞在していたが、もし取材ではなかったら2~3時間ほど掛けて見て回っていたかも)。 また、任天堂がビデオゲームを作る前の製品なども多数展示されているのもポイント。花札やトランプを作っていたことは知っていたが、ベビーカーなども発売していたことには非常に驚いた。 ちなみに展示の中にはファミ通の前身となる‟ファミコン通信”の創刊号やゲームボーイ通信のほか、ファミ通限定エディション“MODEL-F”(スケルトン仕様のゲームボーイポケット)なども確認できた。 展示棚上部には、モニターと指向性スピーカーが設置されており、各ゲームソフトのプレイ映像が流れている。 裏側には各ゲーム機の特徴や関連商品、当時のCM映像、他社の代表的なタイトルなどが展示。 ‟体を動かすあそび”、‟音楽を使った遊び”など、テーマ別の展示スペースも。 こちらはハテナブロックの変遷をテーマにした展示。改めて振り返ってみると非常に興味深い。 これまで発売した商品と最新技術が融合した体験スペース 第1展示棟 1階は、任天堂が生み出してきたさまざまな娯楽の系譜が現代に続いていることを体感することができるフロア。過去に発売された玩具と最新の技術を掛け合わせた、新しい遊びを楽しむことが可能。 展示を体験するには入館証に付与される‟コイン”が必要となる。コインは入場時に10枚付与され、展示ごとに必要となるコイン数は異なる。なお、コインは追加できないので注意しよう。 第1展示棟 1階にも体験できる製品にちなんだ展示が行われている。 しぐれでんSP しぐれでんSPは、かつて京都嵐山にあった‟小倉百人一首”をテーマにした施設‟時雨殿”のアトラクションを元にした体験展示。専用のスマートフォンが読み上げる短歌の下の句の札を、足下のフロアビジョンから探して、スマートフォンのカメラでかざすとポイントを獲得できる。 百人一首にちなんで花札やトランプ、さらにカード類も展示。 ザッパー&スコープSP 任天堂が1970年代に展開した大型レジャー施設‟レーザークレー”を現代風にアレンジし、‟スーパーマリオ”の世界で射的を楽しめるようにした展示。的を狙う銃は、過去に発売していた光線銃‟ザッパー”もしくは‟スーパースコープ”となっている。 体験ブースの近くには光線銃関連の展示が。 『スプラトゥーン』プレイヤーにはおなじみ(?)のザッパー(写真左)とスーパースコープ(写真右)。 筆者はスーパースコープで体験。ザッパーに比べて大きいため機動性は劣るものの、スコープが付いているので狙いやすい。 ウルトラマシンSP 1968年に発売された家庭で遊べるピッチングマシン‟ウルトラマシン”を当時の家庭をイメージした空間で体験できる。ブースは6ヵ所あり、内装が異なる。球を家具に当てるとリアクションが発生する。 学生時代、野球部だった筆者だが想像以上に難しく不甲斐ない結果に……。 ウルトラハンドSP 1966年発売の持ち手を閉じる伸びる玩具‟ウルトラハンド”を体験できる展示。‟ウルトラハンド”を操作して、レーンを流れるボールを掴んで土管に入れることが目的。 簡単そうに見えるが、ボールが動いたりもするのでなかなか難しい。 ボールの中には隠れキャラも!? ラブテスターSP 1969年に発売された2人1組で‟ラブ度”を測定できる‟ラブテスター”。こちらは、本体から延びる赤と黒のコードをふたりでそれぞれ握り、共同作業のゲームを通じて、‟ラブ度”を測定するアトラクション。 ゲーム&ウオッチSP 任天堂が1980年に初めて発売した液晶画面搭載の携帯ゲーム機‟ゲーム&ウオッチ”のゲームを自身の影で操作する展示。ゲームは『ボール』と『マンホール』の2種類が選択可能。 自身の影を使って操作するので直感的に楽しめる。ゲーム性もシンプルだが右手だけを右に動かすつもりが、左手もいっしょに動いてしまうといったようなこともあり(右手を動かすためにどうしても体が右に傾いてしまうため、左手もつられて右に移動してしまう)、なかなか奥が深い。 ニンテンドークラシック Nintendo Switch Onlineで配信されているファミコン、スーパーファミコン、ニンテンドウ64向けソフトを、各ゲーム機のコントローラで体験できるコーナー。各ゲーム機のコントローラの購入を迷っている人はここで試すのもありかも。 ビッグコントローラー 巨大化した歴代ゲーム機のコントローラを2人1組で協力して操作する。体験できるのは、ファミコン、スーパーファミコン、ニンテンドウ64、Wii(Wiiリモコン、バランスWiiボード)。 通常サイズのコントローラでは3Dスティックの背面に配置されていたZボタンは、足元に設置され足で踏んで押す形に。 ニンテンドウ64では、『スーパーマリオ64』を3つのステージから選択して体験できる。筆者たちはクッパ戦を選択。ふたりで操作するということで、最初はなかなか息が合わずステージから落下したりもしたが、制限時間ギリギリでなんとかクッパを倒すことに成功。なお、クリアー後は制限時間が追加され、別のステージを遊ぶことができた。 スーパーファミコンは、『スーパーマリオワールド』、『スーパーマリオカート』、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』の3タイトルを体験できる。 貴重な展示も 体験展示スペースから出口に向かう通路には、花札製造の様子がわかる写真や、実際に任天堂が花札製造に使用していた金型、ファミリーコンピュータを製造していたころの宇治小倉工場の写真などが埋め込まれている。 また、任天堂の旧本店に保管されていた花札ラベルの保管棚を移設した展示スペースも。 当時は各引き出しに異なる図柄と商品名を記したラベルが入っており、花札が1組完成するごとに棚からラベルを取り出して手作業で貼っていたそう。 さらに、1971年に本社を新築したのに伴い受贈した‟「任天」の書”も展示されている。社名の一部である‟任天”には、‟運を天に任せる”の意味が込められていると言われているものの、社名の正確な由来は不明とのこと。 こちらの書は和歌山の書家である津村枕石氏によるもの。 限定商品が多数! オフィシャルグッズショップ‟BONUS STAGE” オフィシャルグッズの販売を行う‟BONUS STAGE”。コントローラの形をしたクッションなど、歴代ハードをモチーフにしたアイテムやニンテンドーミュージアム限定の商品が多数ラインアップされていた。 組み合わせは27万通り以上!? オリジナルのハンバーガーをオーダーできる‟HATENA BURGER” バンズ、メイン、トッピング、ソースを選んでオリジナルハンバーガーを作れる‟HATENA BURGER”。すきやき、親子丼、西京焼きをイメージした個性的な具材のほか、トッピングには京都ならではの九条ねぎ、万願寺とうがらし、しば漬けなども用意されており、組み合わせはなんと27万通り以上。 オリジナルのハンバーガーをオーダーできる‟HATENA BURGER セット”以外にも定番のハンバーガーも用意されている。 ピーチとベリーの甘酸っぱいドリンク‟ピーチ&チーズ”、明治12年創業の宇治茶の老舗・堀井七茗園の抹茶を使った‟グリーンティーフロート”の2種類のスペシャルドリンクも。 店内は、ゲームをモチーフに、遊び心あふれる3つのステージで構成されている。 こちらは工場の名残を感じる‟バーガーファクトリー・ステージ”。宇治小倉工場で使われていたコンテナやパレットを再活用しているとのこと。 続いては、ゲームフィールドをモチーフにしたバーガーショップ・ステージ。こちらには『あつまれ どうぶつの森』の超稀少なポスターも掲示されている。 最後は80年代の喫茶店を思わせるノスタルジック・ステージ。こちらには『ゼルダの伝説』のステンドグラスが。 さらに店内には『あつまれ どうぶつの森』の風船も。 写真左:スマホでのオーダー画面。写真右:オーダーが完了した後には、ニンテンドーミュージアムを楽しむためのヒントが表示される(さまざまな場所にキャラクターが隠れている模様)。 任天堂の原点でもある花札を作ったり、遊んだりできるワークショップ 任天堂の原点でもある花札のワークショップも2種類用意されている。 ちょっと、花札をつくろう ひとつは、現在機械で作られている花札を130年以上前、任天堂創業時に職人が1枚1枚手作りしていた工程を疑似体験できるもの。12ヵ月の中から好きな月を選んで4枚1セットの花札の色を塗ったり、のりではったりしながら作っていく。もちろん、製作した花札は持ち帰ることが可能。 なお、ワークショップは当日館内のインフォメーションで事前予約が必要で、1回の体験料は2000円[税込]となっている。 手順の説明なども非常に丁寧なので誰でも安心して参加できる。 不器用な筆者でも少し不格好ながら無事に完成。手作り感があって記念品としても最適。 ちょっと、花札であそぼう 通常は48枚使う花札を、32枚のみ使って代表的な遊びのひとつである‟花合わせ”を体験できるワークショップ。画像認識とプロジェクション技術を活用して、取れる札などを教えてくれるので、花札のルールや遊びかたを知らなくても楽しめる。 1回の体験料はひとりにつき500円[税込]で、体験はふたりひと組となる。 どの札をどこに置けばいいのかをリアルタイムに判断して教えてくれる。 点数の計算なども行ってくれる。ちなみにこちらの写真では日本語の表示になっているが、英語表示(音声も)にも対応しているとのこと。 施設概要 施設名:ニンテンドーミュージアム開業日:2024年10月2日(水)所在地:〒611-0042 京都府宇治市小倉町神楽田56番地交通アクセス:・近鉄京都線「小倉駅」東口から徒歩5分・JR奈良線「JR小倉駅」北出口から徒歩8分営業時間:10:00~18:00休館日:毎週火曜日および年末年始(12月30日~1月3日)※火曜日が祝日の場合は営業。翌水曜日が振替で休館となります。