超一流ホテル「リッツ」が接客で徹底する「たった1つのこと」
世界最高級のホテルとして知られるザ・リッツ・カールトン。その魅力は、単に豪華な客室や美味しい料理だけではありません。お客様一人ひとりに忘れられない体験を提供する、サービスの極意とは? 本記事では、元ANAのCAで人材教育講師の三上ナナエ氏の著書『一生使える「接客サービス」の教科書』(大和出版)より、顧客満足度を高めるポイントを解説していきます。 職業別「平均年収」ランキング…「客室乗務員」の衝撃順位
「顧客体験価値(CX)」は「顧客満足(CS)」の上に成り立つ
お客様に提供できる“価値”とは ヤン・カールソン※の本「真実の瞬間」の中で、お客様にサービスを提供するうえで起点になる大切なことは、「交通機関としてお客様との大事な約束事。定時運行である」という主旨の話がありました。そのために職種、部門を超え、様々な取り組みをしていると。 ※航空業界の世界最年少CEO 私たちは、お客様に本来期待されている『約束事』の価値を提供し、その対価の一つとしてお金をいただきます。航空会社であれば「目的地まで時間通り安全に移動していただくこと」、飲食店であれば「安心して美味しい料理を楽しんでいただくこと」、運送会社であれば「品物を傷つけずにきっちり納期までにお届けすること」であったりします。 ここで大切なのは、「顧客満足(CS)」という約束事に対してきっちりと応えたうえで、「顧客体験価値(CX)」を実現するということです。言い換えると、まずはお客様を不安や不快にさせないこと、「マイナス」をなくすことを優先させるべきなのです。 レストランであれば、大前提の「安心して美味しい料理を楽しんでいただく」うえでお客様が不快に感じることをしない。例えば、必要な時に呼んでも来ない、メニューがわかりにくい、待たされる、基本的な質問をしても答えられない。こういうことが積み重なるとお客様はどんどん不快になっていきます。 そのような状態で「どうぞゆっくりお過ごしくださいませ」と笑顔でプラスアルファのひと言をかけたとしても、逆に「その前にすることがあるでしょう……」という気持ちになってしまうのです。 そうならないように、心配りをしていきます。例えば、お客様がスタッフを呼ぼうとしていないか、常に目配せして呼んでいる動作や声に敏感になる。メニューがわかりにくくないかひと声かけてみる。どうしてもお待たせしてしまう時は、お詫びとともにひと言お伝えする。お客様に質問されそうな点をあらかじめ予習する、など。この基本こそが「顧客満足(CS)」の基盤となります。土台がしっかりしていないと、その上にいくら柱「顧客体験価値(CX)」を建てようとしもぐらつき、意味のないものになってしまうのです。