お腹がゴロゴロしづらいと注目の「A2ミルク」は牛乳苦手民も飲みやすい?【メーカーさんに聞いてみた】
大手スーパーやこだわりの宅配で見かける、「A2(エーツー)ミルク」。生乳100%からつくられる「お腹がゴロゴロしにくい牛乳」として、今やオーストラリアやニュージーランドではポピュラーな商品。日本でも徐々に販売店が拡大しています。 【画像9枚】最近見かける「A2ミルク」、においや見た目は普通の牛乳と違う?『カネカ』の北海道農場の様子も! そこで、日本国内で2018年から乳製品市場に参入した『カネカ』・天川隼人さんのもとへ。『カネカ』といえば「カガクでネガイをカナエル会社」ですが……なぜ牛乳? お腹にやさしいことはもちろん、日本の未来を照らすその取り組みと、おいしさの秘密を伺いました!
そもそも「A2ミルク」とは?
まずはその名の「A2 (エーツー)」とは、牛のミルクに関わる特有の遺伝子のタイプにちなんだもの。 「世界中で飼育される牛は、A1(エーワン)という遺伝子を含む『A1牛』と、A2という遺伝子のみをもつ『A2 牛』の2種に、大きくはわかれます。 どちらも同じように飼育されていますが、『A1牛』の生乳には『β-カゼイン A1』というタンパク質が含まれています。これが牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする原因となる物質のひとつと言われているんです。『A2 牛』は、遺伝的に『β-カゼイン A1』を生産しません」(以下「」内、天川さん) 牛の遺伝子というとイメージしづらいかもしれませんが、人間でいう血液型のようなものと思うとスムーズに理解できるかもしれません。 「今まで日本では、『A1牛』と『A2牛』の生乳をとくに区別せずに混ぜて出荷されるのが一般的でした。しかし、長年の研究により、『A2牛』の牛乳はおなかがゴロゴロしづらいとか、海外では栄養価が高いとか、一部には美容にもよいなどという研究結果も。そこでここ5年ほどで、急激に市場が拡大したんです」
日本の酪農を応援したい! 『カネカ』がA2ミルクに参入した理由
ジャージー牛のような原種に近い牛に多いともいわれる『A2牛』。実のところ、『A2牛』かどうかは遺伝子を調べないとわかりません。それには手間もコストもかかるため、日本国内の酪農家はA2ミルクの参入になかなか踏み切れないという現実もあったそうです。 「新しいことをはじめたくても、酪農家の方々は朝から晩まで大忙し。やらなければならない仕事も山のようにあります。また、高齢化に加え、若い担い手や新規参入者も少なく、国内の酪農家は40年前と比べると90%近く軒数が減っています。 このままでは将来、生乳の自給率にも問題が起きる可能性があると当社は考えています。カガクの力で世界の課題を解決したいと考えている『カネカ』として、国内の酪農を応援したいと、2018年から乳製品事業をはじめました」 ⚫︎酪農家とともに運営する「新しい酪農」を実現した牧場 現在、『カネカ』が出荷するミルクの一部を担うのが、北海道別海町にある『別海ウェルネスファーム』です。ここでは酪農家3名とともに、新しい酪農に挑戦しています。 「たとえば、カネカの持つ太陽光発電や断熱材を使用した取り組みや、日本には多くない自動搾乳機の導入など。酪農家の方々が働きやすい、牛が過ごしやすい環境をつくるために、新しい酪農づくりにチャレンジしています。こういった取り組みにより、限られた人手でも良質な『A2ミルク』を出荷できるんです」 ⚫︎環境に配慮した循環型の製品づくり 「私たちは、未来に繋がる製品づくりも大切にしています。そのためにも、環境や牛にやさしいサステナブルな有機循環型酪農を行い、牛乳にはオーガニック生乳のみ使用しています」 牧場では、牛を放牧してストレスフリーに。また、牛の排泄物も有効活用して有機飼料にしているそうです。そして先ほどあった自動搾乳機の導入も、酪農家にとって重労働の搾乳を省力化する、循環型の取り組みの一つなのだとか。 「こうしたノウハウを積み重ねて、将来的には酪農家のみなさんや、新規就農を希望されている方々にも共有できたらと考えています」