「高級料理 = タクシーで届ける」 プロのドライバーがもたらす安心感とプレミア感、業界はニッチなニーズ対応で危機乗り越えよ
タクシーで実現する子育て支援
ふたつ目は子育てタクシーだ。 ●子育てタクシー 地方都市を訪れると、「子どもの送迎のためにパートの時間を連続して働けず、一時的に上司の許可を取って抜けなければならない」という話を時々聞く。 ・自宅と学校の送迎 ・放課後の自宅と塾の間の送迎 ・自宅とスポーツクラブの間の送迎 など、親が送り迎えをしなければならないケースが増えている。路線バスやスクールバス、送迎バスのドライバー不足がこの問題をさらに深刻化させている。そこで、プロのタクシードライバーにその送迎を任せるのが子育てタクシーだ。 このサービスは、保護者の送迎を代行するだけでなく、 ・緊急時の病院への送迎(急な破水や陣痛時の対応なども含む) ・乳幼児を連れた外出の支援 も行う。これは、子育て支援を目的とした新しいタクシーサービスである。全国子育てタクシー協会が主催する「子育てタクシードライバー養成講座」や保育実習、チャイルドシート取り付け講習を修了した乗務員が運転するタクシーが、子育てタクシーとなる。 例えば、東京の日の丸交通(東京都文京区)では、子育てタクシーを利用するには一部コースを除き会員登録が必要で、東京23区、三鷹市、武蔵野市を中心にサービスを展開している。大都市でもニーズがあり、今後の発展が期待されている。
広がるデリバリーの可能性
三つ目はデリバリータクシーだ。 ●デリバリータクシー 飲食物のデリバリーといえば、自転車やバイクが思い浮かぶ。しかし、最近ではタクシーがフードデリバリーを行う例も増えている。これまでタクシーの参入は禁じられていたが、コロナ禍でデリバリーニーズが高まり、国土交通省は2020年の4月から9月末までの期間限定で、タクシー事業者が有償で飲食店の食料や飲料を運ぶことを許可した。これは ・消費者 ・フード事業者 ・タクシー事業者 のそれぞれに大きなメリットがあり、現在もタクシー事業者はフードデリバリーに参入できるようになっている。コロナ禍はタクシー業界にとって、思わぬプラスの効果をもたらしたといえる。 タクシーを利用することで、バイクや自転車よりも「広範囲に大量配送」が可能となった。プロのドライバーによる配達サービスであるため、 ・安心感 ・高級感 もあり、フード事業者のブランディングにも貢献している。高級ホテルやレストラン、料亭がタクシーデリバリーを利用しているのも注目すべき点だ。 「高価な料理はタクシーで届ける」 という新たなブランドが形成されつつあり、ユニークである。バイクや自転車では、フードが傾いて汚い状態で届くという苦情も少なくないが、タクシーではそのリスクも軽減される。