大谷翔平、「お祭り男キケ」にハグの意味…「翔平の一番好きなところは…」【2024年ちょっといい話】
【大谷翔平と仲間のちょっといい話(第6回)】 お祭り男はもがき苦しんでいた。ドジャースのキケ・ヘルナンデスは7月、打率1割台に低迷していた。先発機会も少なく、存在感は薄かった。だが、7月20日の古巣レッドソックス戦での活躍で潮目は変わった。 ◆大谷翔平の2024年シーズンを振り返ろう【フォトギャラリー】 1点を追う9回に起死回生の同点弾。救援が乱れた後の延長10回には同点適時打でチームを救った。勝負強い「キケ」が復活し、チームはサヨナラ勝利。試合後、いつもは家路を急いで出口に向かう大谷翔平が、帰り際、キケのロッカーに立ち寄り、ハグを求めた。この日の主役の頰は緩んだ。 キケはチームの「宴会部長」。遠征にはド派手なスピーカーを持ち込み、勝利後には爆音を響かせる。発言など奔放な一面もあるが、野球に対しては真摯(しんし)だ。試合後、大きなノートにメモを書き留める姿はクラブハウスの日常だ。そんな姿を大谷も間近で見ている。だから、苦しんだキケの一打はうれしかったのだろう。 大谷が苦しかった時は寄り添ってくれた。3月、元通訳の巨額銀行詐欺事件に巻き込まれ、ドジャー・スタジアムで会見を開いた時は、キケはケリーとともに会見場で傍聴して見守り、サポートの姿勢を示した。大谷の誕生日には、日本語で「誕生日おめでとう」と書いたボールをプレゼントした。 お祭り男は10月に輝いた。シーズンの前半戦がうそのように。そして、大谷と悲願の世界一を喜びあった。ワールドシリーズ中、キケは大谷の性格について求められた。「翔平の一番好きなところは、バスや飛行機の中がまるでパーティー会場みたいになっている中、爆音が鳴り響いているのに、彼は平然と椅子に座って漫画を読んでいる。それがショウなんだ」。キケらしい、答えだった。(阿部太郎)
中日スポーツ