どう乗ればいい? 事故ったら? 新車を買う前には絶対やるべき「試乗」最新事情
試乗中の事故はドライバー側にも一定額の負担がある
クルマを購入するときには、必ず試乗したい。当たり前の話だが、クルマの機能は運転したり使ってみないとわからないからだ。 【画像】割安に購入可能な「展示車」と「試乗車」に潜む落とし穴 一般的な試乗では、ディーラーの試乗車を使う。販売会社のホームページを見ると、どの販売店にどのような試乗車があるのか記載されている。購入を希望する車種とグレードがある販売店を選んで試乗を申し込む。ホームページで試乗車を予約できる販売会社も増えてきた。 気になるのは、試乗中に交通事故が発生したときの対応だろう。複数の販売店に尋ねると、以下のような返答が聞かれた。 「試乗車は保険に加入している。対人と対物は無制限で、人身傷害補償、車両保険にも入っている」 これらのうち、車両保険は免責5万円の加入が多く、免責金額はドライバーが負担する。交通事故を発生させた場合、車両に生じた損害のうち、5万円まではドライバーが支払うわけだ。 また、販売会社によって「保険の手続きなどのために予め運転免許証のコピーを取らせていただく」、「試乗車の運転は、初心者はお断わりしている。運転免許歴が1年以上のお客さまになる」、「一部のスポーツモデルでは、試乗車の運転を35歳以上のお客さまに限っている」といった話も聞かれた。
最近ではレンタカーも「試乗車」として利用されている
試乗するときにはセールスマンが同乗して、販売店の周辺を15~30分ほど走ることが多い。短時間の試乗でも得られる情報は多いが、街なかの試乗だと、渋滞も多く走行距離も限られてしまう。 そこで、レンタカーを使う方法がある。以前のレンタカーには老朽化した車両も多かったが、最近は販売台数を増やすためにレンタカーを短期間で入れ替える傾向が見られる。そのために比較的新しい車両が増えてきた。 また、販売会社がレンタカー事業に乗り出し、新車の販売店で貸し出しや返却が行える場合もある。「購入を前提に、試乗のためにレンタカーを借りたい」といえば、購入を希望する車種とグレードに近い現行型の車両を探してくれる。 レンタカーを借りると、料金は負担しなければならないが、長時間の試乗が行える。とくにコンパクトカーからミドルサイズミニバンに乗り替えるなど、従来とは車両のサイズやカテゴリーが異なる新車を買うときは、狭い裏道を走ったり車庫入れや縦列駐車を試すなど慎重に試乗したい。 販売店からは「ご主人が天井の低いセダンやワゴンから背の高いSUVに乗り替えたら、奥さんが運転に不安を感じて、早々に手放したことがある」という話も聞かれた。自転車など特定の荷物を積むなら、実際に積載時の使い勝手を試しておきたい。 夫婦でクルマを使うなら、試乗も夫婦そろって行う。ファミリーカーを買うときは、子どもも一緒に試乗して、後席の乗り心地や座り心地、乗降性などを確認してもらう。家族全員で試乗して、意見を出し合って購入したクルマなら、長く大切に使えるだろう。 いまは新車を乗り替える周期が長くなり、5~7年に達するユーザーも多い。次に新車を買うときは、子どもが独立しているかも知れない。だから愛車を購入するときから、楽しい思い出を作ってほしい。
渡辺陽一郎