親が元気なうちに「実家を片づける」ことが大切な2つの理由
帰省をきっかけに、「実家の片づけ」への関心が高まったという人は多い。実は、親が元気でいるうちに実家の片づけに取り組むことは、多くのメリットをもたらすという。 そこで登録者数16万人の人気YouTube「イーブイ片付けチャンネル」の運営者であり、書籍『1万軒以上片づけたプロが伝えたい 捨てるコツ』の著者・二見文直氏に、早めに実家の片づけを始めるべき2つの理由について考える。 後回しにするほど大きな問題になりがちな「実家の片づけ」だが、少しずつ進めるだけで、今と未来が大きく変わる。(構成/ダイヤモンド社・和田史子) 【この記事の画像を見る】 ● 実家の片づけは早く始めたほうがいい むずかしいとは思いますが、実家の片づけは一日も早く始めたほうがいいです。 理由は2つあります。 1つは親御さんのためです。 親御さんに健康で安全で、幸せな暮らしをしていただきたいからです。 「片づいたら孫やペットとも遊べるようになり、ご近所さんも呼べるようになった」 実家に限らず、モノを捨てたことで人間関係が改善することはよくあります。 「実家の不要なモノをすべて処分したら、親の性格が変わって明るくなったんです」 「実家を片づけたら、母が明らかに以前より元気になりました」 こんなふうに、モノを捨てたことで親御さんの心身に変化が表れたという話もよく聞きます。 もう1つはお金をかけずにできることが多いからです。 親御さん世代の方がこの記事を読んでくださっているのであれば、ぜひお伝えしたいことがあります。 「(亡くなった後)家の片づけにかかるお金」は用意されているでしょうか? お葬式やお墓にかかるお金は、あらかじめ親御さんが残しておいても、「家の中にある、大量の不要なモノを処分する費用」については見落とされがちです。 遺産相続によって、片づけ費用を清算できれば問題ありませんが、相続する遺産がなければ家族が負担するしかありません。この金額は結構大きい。 実家の片づけ(遺品整理)に、5日間でトラック7台分の荷物を運び出したこともあります。このくらいの量だと、金額もそれなりになってしまいます。 ● 過去のために未来が犠牲になるのは… 事情はさまざまですが、実家の片づけ問題は特に費用の面で、みなさんとても苦労されています。僕も家族の遺品整理などでお金に苦労したことがあるので、よくわかります。 僕がこれまで見てきたのは…… ・コツコツ貯めていた子どもの教育費を、すべて実家の片づけ費用に回した人 ・自身の家を売却したお金で、実家の遺品整理をせざるを得なかった人 ・実家を自分一人で片づけようとしたら、自分の生活が崩壊寸前になった人 このような方々です。 過去の整理のために未来が犠牲になるというのは、本当に悲しいことです。 「将来、子どもたちに迷惑をかけないよう、老後のために貯金をしておいたのに、親の遺品整理で消えてしまうとは……」 こうおっしゃった依頼者さんは、「自分の子どもたちには同じ思いをさせたくないから、これを機に自分の家の不要なモノを一気に処分しました」と話してくれました。 依頼者さんの言葉が、片づけと向き合うきっかけになればうれしいです。
二見文直