本郷和人『光る君へ』藤原兼家のクーデター計画で出家させられた花山天皇。その後は修行僧のような厳しい毎日を送ることになったかというと…
大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。第十話は「月夜の陰謀」。藤原兼家は花山天皇を退位、出家させる計画を道長らに伝える。兼家の命に従い道兼らが動き出すなか、道長はまひろに手紙を――といった話が展開しました。一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるあのシーンをプレイバック、解説するのが本連載。今回は「出家」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし! 本郷奏多さん演じる花山天皇に入内した井上咲楽さん演じるよし子は、そのまま「夜御殿」で…ってそもそも「入内」とは? * * * * * * * ◆元慶寺で出家させられた花山天皇 第十話では、藤原兼家のクーデター計画がついに実行へ。 策にハマり、藤原道兼に連れ出された花山天皇は元慶寺で剃髪。たばかられたことに気づくも、もはや打つ手はなく、そのまま出家させられてしまいました。 そこで今回は「出家」について、あらためて考えてみようと思います。 しかし、ここまで書いてみて困った。古代史における貴人の出家は良く分からないのです。取りあえず、中世について説明しますね。
◆貴族の身分 そもそも貴族の身分は「位階」と「官職」から成り立っています。 従五位下とか、正二位という数字がつく(小さい方がえらい)のが「位階」。 近衛少将とか大納言とか、役職が「官職」です。 貴族は必ずこの二つを持っている。で、マロはもう疲れた、現役引退するぞよ、となると「官職」はなくなる。でも「位階」はついてくる。 貴族が「位階」から自由になれるのは死ぬ時、それと出家する時。
◆必ずしも戒律を守らなくてOK 貴人が世の無常を感じて、仏道修行の道に入る(これを「発心する」といいます)。 そのとき彼は髪を下ろし、僧侶風の名前を付け、仏を拝む日々を送る。 でも、ここからがポイントなのですが、必ずしも戒律を守らないでいい。 女性OK。お酒OK。肉は元々食べないけど、いざとなればOKです。
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