スポーツ界にもロシアのウクライナ侵攻が深刻影響…母国キエフ近郊に妻子を残したまま悲痛な思いでリングに立つボクシング元世界王者も
故郷ウクライナに、妻と2人の双子の息子を自宅のあるキエフ郊外に残して、複雑な心境で、現地時間26日に米ラスベガスのリングに立つのが、 元WBC世界スーパーライト級王者のビクトル・ポストル(38)だ。ゲイリー・ラッセル3兄弟の3男であるゲイリー・アントゥアン・ラッセル(米国)との対戦で、世界再挑戦へ名乗りを上げるための重要な一戦。 米ヤフースポーツによると、ポストルは、外交的解決を祈りつつ、試合に集中するためウクライナ情勢について伝えるニュースを見ないように心掛けていたという。ポストルは侵攻が始まった24日に妻と電話で話をして安全を確認したが、「精神的に戦いの準備をするのは難しい」との率直な心情を明かした。 またかつてヘビー級の4団体タイトルを2人で独占したクリチコ兄弟の兄のビタリ氏(50)は、侵攻のターゲットとされている首都キエフの市長を2014年から務めている。英国のテレビ局の「グッドモーニング・ブリテン」に出演し「もうほかの選択肢はない。やるしかない。戦うことになる」と徹底抗戦を宣言した。 弟のウラジミール氏(45)は、すでに予備軍に入隊。SNSを通じて「プーチンはウクライナと国民の主権を破壊することを明らかにしている」とロシアのプーチン大統領を批判。 「その言葉の後にミサイルと戦車が続き、破壊と死が私たちにやってくる。だが、ウクライナの人々は強い。この恐ろしい試練にあっても忠実だ。そして私は、ロシアの人々も基本的にこの戦争を望んでいないことを知っている」と続け、「民主主義の声を聞かせて欲しい」と、ロシア内で、大規模な反戦デモを組織化して欲しいと悲痛な訴えを行った。 ロシアが国際世論の大バッシングの中で犯した軍事侵攻という愚挙の解決が長引けば、スポーツ界への影響はさらに広がりそうだ。