米メタ、ファクトチェック機能を廃止へ CEO「トランプ氏と協力」
米メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は7日、フェイスブックなどのネット交流サービス(SNS)で、第三者機関と協力して虚偽情報を特定するファクトチェック機能を廃止すると発表した。SNS利用者が参加する、より緩やかなチェック機能に変更する。トランプ次期米大統領らは、メタのこれまでの取り組みを「不当な検閲」などと批判していた。 ザッカーバーグ氏は7日に配信した動画で、「原点に戻り、私たちのプラットフォームにおける『自由な表現』を回復することに焦点を当てる」と主張。専門家を含めた第三者を介在させるファクトチェック機能を廃止し、代わりにイーロン・マスク氏が所有するXの「コミュニティーノート」に似た緩やかなチェック機能を始めるという。 メタはトランプ氏が前回の大統領選で勝利した2016年にファクトチェック機能を始めた。だが、トランプ氏や共和党の保守派から「政治的に民主党寄りだ」などと批判されていた。 ザッカーバーグ氏は「メディアは当時『誤った情報は民主主義にとって脅威だ』と書き続けた。私たちは、その懸念に対処しようと努力してきたが、ファクトチェック機能は政治的に偏り過ぎ、米国では信頼を高めるどころか破壊することになった」と廃止する理由を説明した。 さらに「私たちはトランプ大統領と協力し、検閲を推進しようとする世界各国の政府に抵抗していくつもりだ」と述べ、トランプ政権と足並みをそろえると明言した。 メタは21年1月の米連邦議会襲撃事件を受けトランプ氏のフェイスブックのアカウントを凍結し、関係が悪化した。だが、昨年11月の大統領選後にはザッカーバーグ氏がトランプ氏の私邸を訪問。トランプ氏の大統領就任基金に100万ドル(約1億5000万円)を寄付するなど、すり寄る姿勢を鮮明にしている。 トランプ氏の大統領選勝利に貢献したマスク氏は「言論の自由絶対主義」を自称しており、問題投稿のチェックを「検閲」と批判してきた。そのマスク氏に買収されたX(当時はツイッター)では、虚偽投稿が増加していると指摘されている。【ワシントン大久保渉】