能登では事前の計画なく遅れか…南海トラフ巨大地震想定した道路復旧計画『くしの歯作戦』孤立に備える市も
被害が発生した場合、まず、「くしの軸」となる高速道路や国道などを復旧する。その後「くしの歯」に当たる、沿岸部へのアクセスルートを確保するというもので、必要な支援をいち早く届けるため、優先的に復旧する道路を予め決めておく作戦だ。
中部地方整備局の藤山一夫道路情報管理官: 「救援物資を置いてある備蓄場所・避難場所・病院・役場ですね。そういった所をいかに上手に早く繋いでいくか。特に被災場所が孤立した場合に、その孤立をいかに早く解消するかが重要」 作戦の肝になるのは、道路の被害状況の迅速かつ詳細な把握で、その役割を担うのが中部地方整備局の「国道維持」を担う部署だ。 2024年2月、中部地方整備局の名古屋国道維持第三出張所が、くしの歯作戦を想定した訓練を行っていた。 名古屋市港区の国道23号線で、“冠水”の情報があったという想定で、現地に向かう。 「くしの軸」にあたる国道23号に到着すると、スマホで道路の撮影を始めた。 名古屋国道維持第三出張所の長谷川温所長: 「いま撮った写真が出ますので、これに情報を入れる」
作戦が展開されると、国道事務所や県の出先機関、民間の協力業者が、管轄する道路の被害状況をスマホなどで撮影し、専用のシステムに入力する。
中部地方整備局にある本部では、こうして寄せられる情報を地図上で把握できる仕組みだ。 訓練で撮影した国道23号の「冠水」の情報は、地図上にしっかりと表記されていた。 中部地方整備局の藤山道路管理官: 「冠水があるとすると、この冠水が起こっている時に、側溝の詰まりを直すような作業がいるかとか。何が原因になっているのかを推測して、どんな作業が必要か判断していく」
「くしの歯」作戦は、東日本大震災の発災後に東北で行われた対応を受けて計画され、愛知だけでなく三重や静岡の沿岸部でも、円滑に作戦が展開できるよう準備が進められている。 中部地方整備局の藤山道路管理官: 「今までは津波のがれき処理を主に被災の状況として考えていたが、能登地震の被災を見ると土砂崩落やトンネルの被害とかも見受けられる。被害想定を計画の中でも見直していきたい」