能登では事前の計画なく遅れか…南海トラフ巨大地震想定した道路復旧計画『くしの歯作戦』孤立に備える市も
■災害時に集落が孤立しないための “リスク分散”
孤立を想定し、備えも進める自治体がある。愛知県豊田市の稲武地区は、山あいの集落などに合わせて2000人ほどが暮らしている。 愛知県は、国の南海トラフ巨大地震の被害想定で、約500集落が孤立する可能性があるとされた。中でも山間部が多い豊田市は、その4割の200カ所が集中している。
稲武地区を歩いてみると、集落に続く道が一本しかない場所が多くあることが分かる。
2月8日、豊田市役所の災害対策本部で行われていたのは、稲武支所の孤立を想定した通信訓練だ。支所には2つのキャリアのスマホが備えられていて、テレビ会議システムで状況を共有する訓練を毎月実施している。
豊田市職員: 「稲武地区の方では気象状況等はいかがですか?」 稲武支所職員: 「雪もなく、いい天気です。晴天です。道路状況も特に異常はありません」
能登半島地震のように、通信が遮断された場合を想定した対策もしている。豊田市では、中学校区ごとに衛星電話や防災行政無線を設置していて、携帯電話の基地局などが使えなくても通信できるよう備えている。
さらに、停電に備え、電気を供給できるプラグインハイブリッド車を孤立が想定される集落などに約50台配備した。ガソリンが満タンなら1台で約2日分の電気を、避難所となる体育館やトイレに送ることができる。
豊田市防災対策課の深津拓也さん: 「通信手段も複数設けているというところもありますし、備蓄についても1カ所ではなく複数で分散してやる。孤立の中では、1つの手段・1つの場所はリスクだと思うので。複数の手段・複数の場所でカバーできるようにリスク分散しながら防災対策を進めていくことが非常に大事ではないかと考えています」
■「能登は他人事じゃない」個人でも備える住民
稲武地区に暮らす松井徹さん(75)は、自宅の裏山が急斜面になっていて、大きな地震で崩れる可能性もあり、孤立する危険を感じている。
松井徹さん: 「こんなに急だもんね。いつ崩れるか。(孤立する可能性も)あります」 松井さんは、東海豪雨で実際に自宅が孤立した経験などから、倉庫には発電機や1週間分の食料を用意している。個人でも、集落の孤立に対して備えが必要と感じているからだ。
松井徹さん: 「(能登の被害は)他人事じゃないね。こっちもいつ起きても不思議じゃないと思いますね。能登を見るとね、道路がひどい。ああなれば(外に)出ることはできないので。特にこういう山間地は絶対(孤立は)あり得ることなので、常に「どうしよう」って考えています。」 2024年3月1日放送