神木隆之介、『海に眠るダイヤモンド』主演の必然性 “一人二役”を成立させた確かな実力
神木隆之介が体現した、鉄平の“実直さ”と玲央の“軽薄さ”
公開中の映画『劇場版ドクターX』で重要な役どころを務めている染谷将太についても、「このポジションをまっとうできるのは彼以外にいない」という印象を受けたが、神木も同じだ。『海に眠るダイヤモンド』で主演を務められるのは、やっぱり神木隆之介をおいてほかにいないだろう。“若きベテラン”でなければ、こういった役どころは務まらない。骨太な物語が展開する「日曜劇場」の座組を、全世代の演技者が揃った集団を、率いていかなければならないのだから。 鉄平の持つ実直さ、玲央の持つ軽薄さ。この両極端なキャラクターを大胆に、けれども丁寧に神木は演じ分けてきた。さらには、いづみの人生や端島の歴史に触れ、玲央が少しずつ変わっていく様子も。 俳優・神木隆之介のすごさは、これらが困難なことだと感じさせないところにあると思う。だから私たちは鉄平と玲央の人生を、ふたつの時代を描いたこの物語を、当たり前のものとして享受できている。このポジションをまっとうできるのは、神木をおいてほかにいるだろうか。劇中で鉄平は、端島をどうにかして守ろうと奔走している。これを体現できる俳優を、私たちみんなで守っていかなければならない。
折田侑駿