スーパーGTが2024年シーズンからの予選方式変更を発表。ポールポジションの座はQ1/Q2合算タイムによって決定へ
スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションは2月9日、2024年シーズンからの予選方式について公示。新たな方式でポールポジションを決定することを明らかにした。 【写真】ビザ・キャッシュアップRB、白基調のレーシングスーツをお披露目。角田裕毅も袖を通す 近年のスーパーGTでは、GT500クラス、GT300クラス共にQ1、Q2を実施するノックアウト方式を予選で採用しており、GT500ではQ1のタイム上位8台が、Q1を2組に分けるGT300では各組のタイム上位8台(計16台)がQ2に進み、そのQ2でのベストタイムでポールポジションを決する形となっている。 そんな中でスーパーGTは、環境対策の一環として各レースウィークにおけるタイヤの持ち込みセット数を年々減少させている。2023年は300kmレースにおける持ち込みドライタイヤが6セットから5セットに減らされたが、2024年はこれが4セットとなる(300kmを超える距離のレースの際はGTAから別途持ち込みセット数が公示される)。 そういった変更により、各チームがタイヤを温存するために公式練習やサーキットサファリなどを走らなくなり、ファンの満足度が低下することを懸念したGTAは、予選Q1、予選Q2、決勝スタートスティントを同じタイヤで走ることを義務化。これまではQ1、Q2でそれぞれ異なるマーキングのタイヤを履き、そのどちらかが抽選によって決勝スタートタイヤに指定されていたが、今季からは予選で使うタイヤが自動的に決勝スタートタイヤになる上、Q2を走るドライバーはユーズドタイヤでアタックを行なうことになる。 その他、予選自体のフォーマットにも大きな変更が。Q1、Q2が行なわれることは変わらないが、ノックアウト方式ではなく、Q1、Q2のタイム合算方式となる。Q1敗退車両がなくなり、Aドライバー、Bドライバーがそれぞれアタックをすることになり、文字通りふたりのドライバーが力を合わせてポールポジションを目指すことになる。 これにより、従来のような「Q2トップタイム=ポールポジション」という図式ではなくなるため、Q2走行中に「どの車両が総合トップか分かりにくいのでは」との懸念もあるが、これに関してはQ2走行中にタイム合算の総合順位をリアルタイムで伝える新たな表示の準備を進めているという。 なおGT300クラスに関しては「特定の条件下で予選順位を入れ替える特別ルールを設定し、新たなエンターテイメント性を創出する」と記載されているが、具体的にどのような形になるのかについては言及されていない。 その他新ルールとして、予選上位に付与するポイントが3位まで拡大され、1位に3ポイント、2位に2ポイント、3位に1ポイントが付与される。また予選不出走車両は決勝レースをピットスタートとなり、Q2では基準タイムが採用される上、未達チームのピットスタートなどが検討されているという。これは、決勝に向けてタイヤを温存するため、Q2や予選そのものを走らないチームが出てくることへの対策かもしれない。また詳細なルールは後日ブルテンにて公示されるという。 このように、レースフォーマットが大きく変更されることとなったスーパーGT。昨年のGT500でヨコハマタイヤを履き、予選一発の速さを見せていたKONDO RACINGの近藤真彦監督はmotorsport.comに対し「今年は予選のやり方が変わって他のチームより厳しくなるかもしれない」とコメントするなど、新方式となる予選では勢力図に変化が生じる可能性もある。また、これまでになかった戦略を採るチームも出てくるだろう。 またこの変更についてGTAはプレスリリースの中で、今回のルール変更が評価の分かれるものだということを認識しているが、同時に「これからのモータースポーツは、その存続において環境への対応は取り組むべき最重要事項」であるとも認識しているため、タイヤのロングライフ化促進の観点で新予選方式を採用したと説明。「この新たな予選方式は、『モータースポーツにおける環境への配慮』と『スーパーGTらしさ』を両立させる有効な方策と考えております」とした。
motorsport.com 日本版
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