中国株ETF、ウッド氏主力ファンドに次ぐ資産額減少-米上場銘柄で
(ブルームバーグ): 中国株上場投資信託(ETF)にかつてないような多額の資金を投じてきたトレーダーは注意が必要だ。この戦略は大きな反転に見舞われやすいだけでなく、タイミングを見誤った投資家に過去10年以上にわたって多大な損失をもたらしてきた。
これらETFは急上昇して短期的な取引機会を生むこともあるが、パフォーマンスを長期的にみると、米上場ETFの中で最も大きな損失をもたらしてきた部類に入る。
実際、過去10年間で見ると中国株ETFはキャシー・ウッド氏の主力ファンドと並び、米ETFとして最大規模の資産額減少を記録していることが、ブルームバーグの集計データで分かる。ウッド氏はかつて株式運用のスターだったが、コロナ禍後は予想が的中していない。
ストラテガスのETFストラテジスト、トッド・ソーン氏は「これらは投資手段というより取引手段だ」とした上で、中国株上昇の流れに乗りたいのなら、「最も変動の激しい株式市場の一つであることが過去のデータで分かっており、多くの利益が失われた経緯があることを認識すべきだ」と忠告した。
「クレーンシェアーズCSIチャイナ・インターネットETF」(KWEB)は2013年の設定以降、120億ドル(約1兆8000億円)を超える純流入があった。こうした資金流入では、通常なら投資拡大と価格上昇によって資産額が膨らむ。だがKWEBではETFの裏付けとなる資産が大きく値下がりし、資産額は18日時点で77億ドルにとどまる。これは投資家が投じた資金より50億ドル近く少ない。
KWEBにおけるこうしたバリュエーションギャップは、米上場ETFの資産規模上位415銘柄の中で、ウッド氏の「アーク・イノベーションETF」(ARKK)に次いで2番目に大きいことがデータで分かる。一方、この基準で投資家に最も報いているのは「SPDR・S&P500ETFトラスト」(SPY)。流入は差し引き1590億ドルだが、資産額は5930億ドルに達している。