「筑波スピリットは何があっても変わらない」筑波大学女子バレーボール部・中西康己監督
~気温上昇下での過密日程は練習の質でカバーするしかない
大学バレーボール界の日程を考えると、春季リーグ戦後の夏場から秋口にかけては非常に重要な時期だ。コンディションを整えつつ更なる強化を図る期間だが、「近年の気候変化が選手への大きな負担にもなっている」という。 「気温上昇は想像以上で体育館内の温度と湿気はすごい。少し前のように根性論だけで乗り越えるのは到底、不可能です。パフォーマンスが上がらないのはもちろん、ケガや故障、体調不良に直結する可能性が高くなります」 「春季リーグ戦後に年代別の日本代表に選ばれた選手もいます。春から休養を取る時間がないままプレーを続けることになるので、肉体と精神の両方で疲労度合いは想像以上になります」 過密日程に加え、筑波大の練習施設には空調設備が完備されていない。「練習量や質に関しては十二分なほど気を配る」と強調する。 「エビデンスはないですが、高温高湿度内での活動が故障者やコンディション不良者が出るのに関わっていると感じます。疲労が溜まっている選手などは、特に回復しにくい環境だと思います」 「指導者の責任が大きくなります。練習の量(=時間)と質の両方について慎重に考えなくてはいけない。上達するためには両方が重要ですが、現在の環境下では質を上げていくしかありません」 例えば、データ上で「勝ち切るために決定率60%以上が必要」という時、今までは「10本中6本」の成功を選手に求めていた。しかし、数を減らして「5本中3本」の成功にシフトする時もある。「今までと同じではリスクだけが高まりマイナスしかありませんから」と悩ましげな表情も見せる。 「『これだけの数をやったら負けるわけない』という考えも間違ってないと思います。でも、そういう方法でやるのは現実的でなくなりました。ベストではなくベター、その時々に適した選択をするしかない。そういった方法を試して結果が出ているので、信じてやって行きたいと思います」