幼い観戦者がサインボールを大人に奪われ…試合中の「デシャンボー」がとった驚きの行動とは【2024年ゴルフメジャー4大会総括】
ゴルフ界の2024年は、いろいろなことが起こり続け、揺れに揺れた1年だった。米男子ゴルフの世界では、PGAツアーと、リブゴルフを支援するサウジアラビアの政府系ファンド「PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)」との統合交渉の問題が依然として解決に至らないまま、今年を終えようとしている。 【写真】“感謝する選手”シェフラーと「ガンに散った友人」の絆
しかし、PGAツアーの選手とリブゴルフの選手がどちらも同じ舞台に立って戦ったメジャー4大会は、エキサイティングで賑やかで華があり、どれも記憶に残る大会だった。そんな今年のメジャー4大会を、あらためて振り返ってみよう。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】
シェフラーの「マスターズ2勝」を支えたもの
シーズン最初のメジャーとして4月に開催されたマスターズは、悪天候による不規則進行となり、強風にも煽られて、選手たちは終始、苦しい戦いを強いられた。 アンダーパーで回ることができた選手が数えるほどとなった中で、着々とスコアを伸ばし、勝利したのは、27歳の米国人選手、スコッティ・シェフラーだった。 シェフラーは2022年にマスターズ初制覇を果たし、今年は2位に4打差を付けて圧勝。早くも大会2勝目を達成した。 シェフラーの勝利を支えた要因は、もちろんさまざまだったが、サンデー・アフタヌーンをただ1人、ボギーフリーで回り切り、我慢のゴルフで首位の座を守り通した戦いぶりは、幼少時代、テキサス州のロイヤルオークスで培われたワザと精神力が大きなモノを言っていた。 「子どものころ、ロイヤルオークスで大人のプロたちがやっていたことを、僕は見よう見まねでやっていた。大人のプロたちにはコースでは勝てなかったけど、チップ&パットなら勝てると思って必死にワザを磨き、ドキドキしながら本気で挑んでいた。それが今、プレッシャーの下で戦う際に、とても役に立っている」 マスターズ初制覇の際も、そして2勝目を挙げた今年も、愛妻メレディスの存在は、シェフラーの何よりの力になっていた。 「勝っても崩れても、アナタがアナタであることに変わりはないのよ。私がアナタを愛していることも変わらない。すべては神が定めたことなの」 愛妻のその言葉が、シェフラーの心の支えになり、彼にグリーンジャケットを着せたと言っても過言ではない。 相棒キャディ、テッド・スコットのヘルプも多大で、シェフラーは「テッドには、どれだけ感謝しても感謝しきれない」と何度も頷いていた。 良き人々に囲まれているからこそ、マスターズ2勝を達成できたと感謝していたシェフラーだが、彼自身がナイスガイだからこそ、彼の周囲にはナイスな人々が集まってくるのではないか。 そんなことを考えさせられたマスターズだった。