夏の暑い日に食べたい!パリのパティシエ長江桂子さん直伝「いちごのソルベ」
「ラデュレ」を皮切りに「オテル・ル・ムーリス」ほか、ミッシェル・トロワグロ率いる「オテル・ランカスター」と三つ星レストラン「ピエール・ガニェール」ではシェフパティシエを歴任。世界のグランシェフたちの信頼を得てガストロノミー界の檜舞台に登場し、現在はパリを拠点に、世界各地で活躍中の長江桂子さん。その精確で明瞭なレシピにはプロの間でも定評あり。家庭で楽しむお菓子においては、誰もがつくりやすく、砂糖やバターの量をギリギリまで減らし、味わい深く食べ心地は軽やかなレシピを提案している。基本のレシピをマスターしたら、風味や形を変えてさまざまに楽しめるアイデアも。これさえ覚えておけば、お菓子づくりには一生困らない。とっておきのレシピを丁寧にお伝えします。お菓子の時間の幸せを、あなたもどうぞ 写真で分かりやすい!「いちごのソルベ」の作り方
フルーツに砂糖やレモン果汁を加えた氷菓・ソルベ。フランス語で「sorbet」は「凍らせる」という意味だが、アラビア語の「シャリバ(飲む)」が起源と言われる。古代のエジプトや中国、ギリシャ、ローマには、さまざまな形の「ソルベ」があったようだ。例えば、「千夜一夜物語」には、果物の果汁を氷水で冷やした飲み物「シャルバート」が登場する。ローマ時代、ジュリアス・シーザーや皇帝ネロは、アペニン山脈などから万年雪を運ばせ、ばらやすみれの蜜、果汁、蜂蜜などを加えて食べていた。 長江さんのレシピはフルーツと水、砂糖、レモン汁だけ。フルーツはメロンや桃、パイナップル、マンゴーなどでも。市販の冷凍フルーツを用いてもいいし、自分でフルーツを冷凍する場合は、作りやすいようにあらかじめカットしておくと便利だ。このレシピでは、グラニュー糖を溶かすのに電子レンジを利用するので、暑いキッチンに立たずにサッと作れる。 「スムージーを作る感覚で作ってみて。水を、牛乳やココナツミルクなどに変えても。いちごのソルベなら、水の代わりに牛乳と練乳をミックスしてもおいしいですよ。このレシピは砂糖をぎりぎりまで減らしているので、なるべくすぐに食べてくださいね」。 ■材料(作りやすい分量) 【いちごのソルベ】 いちご(冷凍)250g 水 50g グラニュー糖 30g レモン果汁 10g 【ヨーグルトのソルベ】 ヨーグルト(無糖) 100g 水 100g グラニュー糖 50g レモンの皮のすりおろし 1/4個分 レモン果汁 10g ■作り方 1 ヨーグルトのソルベを作る。 鍋に水、グラニュー糖、レモンの皮のすりおろしを入れて沸騰させる。ラップなどをしてそのまま常温になるまでおいて、レモンの香りを抽出する。これに、ヨーグルト、レモン果汁を合わせてミキサーにかけ、保存容器に移して冷凍する。 2 いちごのソルベを作る。 水を電子レンジで軽く温める。グラニュー糖に温めた水を加えてを入れてヘラなどで混ぜ、グラニュー糖を溶かす。これといちご、レモン果汁をミキサー(冷凍品使用可のもの)に入れ、いちごがなめらかになるまで攪拌し、保存容器に移して冷凍する。 3 いちごのソルベをミキサーで攪拌し、アイスキャンディー型に入れて冷凍庫へ。 4 ヨーグルトのソルベをミキサーで攪拌し、いちごのソルベに重ねて入れ、蓋をしてアイスキャンディー棒を刺して冷凍する。 RECIPE BY KEIKO NAGAE, TEXT BY MIKA KITAMURA 長江桂子(ながえ・けいこ) 学習院大学を卒業後、ソルボンヌ大学に留学。ル・コルドン・ブルーでディプロマを取得。「ラデュレ」を経て、ロンドン「スケッチ」のオープニングスタッフに。2003年ヤニック・アレノ率いる「オテル・ムーリス」、2004年「オテル・ランカスター」シェフパティシエ、2008年パリ「ピエール・ガニェール」シェフパティシエを歴任。2012年、ガストロノミー界のコンサルティング会社「AROME」をフランスで設立。パリを拠点に、世界各地にて菓子ブランドや店舗の立ち上げ、商品開発、技術指導、監修などを手がける