【実録】買ったアルファードが「盗難車」だった? 購入代金390万円は返金されるのか? 見た目は30系も車体番号は20系の謎… 巷で流行る「目玉抜き」とは
車台番号を貼り換えて流通させる「目玉抜き」とは?
今、日本でじわじわと増えているのが、3代目アルファード(30系)に代表される「目玉抜き」という行為です。 【画像】「えっ…!」これが盗難被害にあったクルマです。 画像を見る(26枚) 目玉抜きとはアンダーグラウンドな業界用語の一つでA車(盗難車)の車台番号を取り去って、同じ型式のB車の車台番号を貼り付けた車両のことを言います。 いわば、盗難車のロンダリング(洗浄)です。今回は実際に被害に遭われた関東在住のAさん夫婦の実例を元に解説していきます。
日本で盗まれたクルマの多くは海外に密輸されます。 かつては出所がわからないよう解体し、部品として密輸されることが多かったのですが、近年はとくにトヨタの「アルファード」や「ランドクルーザー」などの高値で取引されるクルマはバラさずそのまま海外に持ち出されることが増えています。 それは、クルマとしての価値も高いまま保つことができるメリットがあり。 また、日本の税関は出ていくクルマに対して大型X線機器による検査もほとんどしていないという実態があるからです。 実際、過去10年間、全国の15か所の港にある大型X線でコンテナの中から盗難車が発覚のはわずか年間で4-5件です。全くのザル検査なのです。 盗難車をバラさずにそのままの形で輸出する場合によく使われる方法が「目玉抜き」という方法です。 簡単に言うと、盗難車の車台番号を事故車や水没車などから切り取った同型車種の車台番号に貼り換える方法です。 車台番号から調べると盗難車であることがすぐに判明するので他のクルマの番号に貼り換えるのです。 関東在住のAさん夫婦は今年春に盗難車だとはもちろん知らずメルカリを通じて知り合った売人から30系アルファードを購入しました。 値段は390万円。外装も内装もとてもきれいで距離も3万キロと少な目です。現所有者は愛知県在住で「尾張小牧」ナンバーがついていました。 代金とクルマの受け渡しは売人からの指示で「クルマと引き換えに現金を渡す」ことになったので、Aさんは売人が指定した神戸まで現金を持って行きます。 それと引き換えに車両本体と名義変更のための書類(印鑑証明、委任状、譲渡証明書等)を受け取りそのままアルファードを運転して帰ってきました。 しかしその後、Aさんはオイル交換をお願いした工場で妙なことを告げられます。 「このアルファード、車台番号が違うんじゃないですか?」 続けて「クルマは明らかに30系アルファードなのに、車検証の車台番号が20系になっているのはおかしい」ということでした。 Aさんは「もしかしたら盗難車かもしれない。20系アルファードは1世代前のモデルだから30系の車台番号につくはずがない」と思い、不審なクルマなので名義変更をせず、「このまま返品して390万円を返してもらいたい」と願うようになりました。 しかし、「どうやればいいのか?不審なクルマだとは思うが決定的な証拠がないし、その証拠の集め方もわからない…」と。