【宝塚記念】馬場適性だけじゃないブローザホーンの勝因 秋に向け「メンタル強化」でさらなる高みへ!
[GⅠ宝塚記念=2024年6月23日(日曜)3歳上、京都競馬場・芝外2200メートル] 18年ぶりの京都開催となった第65回GⅠ宝塚記念(23日=芝外2200メートル)を制したのは、3番人気のブローザホーン(牡5・吉岡)。デビュー6年目の菅原明良とのうれしいGⅠ初制覇で、管理する吉岡調教師にとっても開業5年目で初のビッグタイトルとなった。雨中決戦での勝利の価値は? 同馬の今後の展望は? 検量室前の取材から検証する。 雨を切り裂き、栄光のゴールに飛び込んだ。18年ぶりの京都決戦を制したのはブローザホーン。直線、大外から力強く抜け出し、デビュー6年目の若武者・菅原明とともに人馬初のGⅠタイトル。スタンドの大歓声を浴びながら鞍上は静かに喜びをかみ締めた。 「ものすごくうれしいです。ここまで乗せ続けていただいたオーナーや関係者の皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです。〝今年こそはGⅠを〟という気持ちでいたので勝ててホッとしています」 パートナーの特徴は手の内に入れていた。逃げ馬不在の一戦は1000メートル通過61秒0のスロー。この日の前残り馬場を考えれば、後ろから数えた方が断然早い位置取りはヒヤリとしておかしくなかったはずだ。それでも鞍上は「思ったより後ろかなとは思いましたが、頭数も少ないですし、重馬場を苦にしないので」と馬を信じた騎乗に徹してみせた。 「4角を回る時には持てるくらいの余裕がありましたし、追えば伸びる自信はありました。強かったです。馬に感謝しかありません」 馬を信じていたのは吉岡調教師も同様だ。今年2月いっぱいで解散した中野栄治厩舎から引き継いだ大器。指揮官は転厩直後から「中野厩舎で丁寧に扱われてきたこと」、そして「効率のいい走りをする馬で心肺機能が非常に高い」と確かな能力を感じ取っていた。ゆえに大一番に向けても「特別なことをしないこと心がけた」。普段通りの調整を貫き開業5年目で初のビッグタイトルをつかみ取った。 気になる今後について岡田オーナーは「年内は国内になるかな」。ドウデュースやジャスティンパレスなど並み居る強豪を退けてのグランプリ制覇となったが、「今日はこの馬が一番汗をかいていた。夜間放牧に出して精神面を鍛えたい」と冷静に分析し、さらなる高みを見据えた。 今回の勝因について〝雨馬場〟が占める部分は決して小さくなかろうが、ブローザホーン自身にさらなる成長の余地があるのもまた事実。鞍上・菅原明とともに秋にはもう一段成長した姿で、絶対王者への階段を駆け上がることを期待したい。
西谷 哲生