外国人材育成は日本人と変わらないというリアル
サベイウーさんと一緒に来日したミャンマーからの技能実習生1期生であるマーマートェーさんは2023年、社員やクライアントが集まるパーティーで流暢な日本語で発表し、来場者らを驚かせました。彼女も技能実習生から特定技能に切り替えて活躍しており、現在は現場の所長を務めています。 また、2期生となるナンゲービーさんは都内のホテル現場の所長代理です。彼女たちを含め、これまでミャンマーから来日した技能実習生のうち10人が特定技能に切り替えて活躍しています。
これまで当社では、フィリピン人、ベトナム人、ネパール人らも正社員として登用されている人材がいます。 日本では、技術・人文知識・国際業務などの就労ビザを持つ外国人は「優秀な人材」、特定技能ビザを持つ外国人は「その専門分野の技術を持っている」と自動的に見なされがちです。 一方で、技能実習生は「日本語が不十分で問題を起しやすい」というイメージが一般的です。しかし、これらの区分はあくまでビザの種類に過ぎず、実際の人材の質の指標ではありません。
■個人の資質は日本語だけではない これまで留学生ら多くの外国人と接してきた、前出の山岸弘忠部長は「個人の資質はあくまで人材・個人次第」と述べています。 技能実習生は制度上、決められた現場で基本的な作業を行うことが中心で、企業側にとっては利用が限定的かもしれません。しかし、人材によっては基礎を学び企業を理解できるという機会があり、一部批判もあるものの、企業としては安定した人材を3年間は確保できます。
一方で、特定技能者はさまざまな現場での作業や管理職への登用が可能で、適材適所への配置が行えますが、よい待遇や仕事環境を求めて他業種や企業への転職が可能です。そのため、「地方や中小企業、人気のない職種には不利」とも言われています。 前出のサベイウーさんのように、優秀な技能実習生を採用して基礎から管理者へと育て上げる取り組みは、技能実習制度と特定技能制度の両方を活用した理想的な外国人材の活用例と言えます。