摘発事例も出た「民泊」どこから違法になる?
自宅の空き部屋などに旅行者を有料で泊める「民泊」が、インターネット上の仲介サイトを通じて広まっている。政府は2020年東京五輪開催時の外国人観光客増も見据えて「民泊」の規制緩和を進めている一方、「民泊」を行っていた人物や業者が法律違反だとして摘発される事例も出ている。「民泊」は、どこから違法になるのか。 報道によると、京都府警は16日、京都市のマンションに市の許可なく外国人観光客を繰り返し有料で宿泊させていたとして、旅館業法違反の疑いで、東京都千代田区の会社役員ら3人を書類送検した。昨年5月には、警視庁は外国人観光客向けに無許可で旅館業を営んだとして、同容疑で東京都足立区の英国籍の男性を逮捕している。
現行法では原則として違法
インターネット上で旅行者と部屋の提供者をつなげるサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」が拡大したことで、アメリカなどでは「民泊」が旅行者の宿泊先の選択肢の一つになりつつある。日本でもすでにこのサービスを利用した「民泊」が民間で行なわれているが、日本では旅館業法上、宿泊業は原則としてホテルや旅館などに限定されており、営業許可がなければ違法となる。 どのような場合に「民泊」が違法となるのか。厚生労働省生活衛生課によると、旅館業法上、以下の場合には営業許可が必要となる。(1)宿泊料を取っている、(2)不特定の人を客にしている、(3)継続して客を募集している、(4)利用者の生活の本拠でないーの4点全てを満たす場合だ。この4つ全てを満たすにもかかわらず営業許可を取っていない場合、「民泊」は違法となり、6カ月以下の懲役または3万円以下の罰金規定がある。 例えば宿泊料を取って1度だけ人を泊めた場合は、継続性があるとはみなされない。親戚や友人を泊めて対価としてお金をもらう場合にも、不特定の人を対象にしているわけではない。これらの場合には、違法とはみなされないようだ。厚労省によると、「簡易宿所」の営業許可を取れば「民泊」が可能となることもあるが、客室延べ面積が33平米(20畳程度)以上あることなどの条件を満たす必要があり、住居専用地域では営業許可を取ることができないため、認められる例は多くないという。