摘発事例も出た「民泊」どこから違法になる?
現行法で旅館業法の例外となる「民泊」
現行法上で例外として認められている「民泊」の形態は3つある。一つは、国が地域限定で先行して「民泊」の導入を認めた「国家戦略特区」の対象地域内であること。二つ目は、農業漁業体験民宿業であること。三つ目は、年1回程度のイベント開催時に、自治体側の要請があった場合認められる「イベント民泊」だ。 国家戦略特区では、これまでに東京都大田区と大阪府が「民泊」を認める条例を成立させている。厚労省によると、大田区は来年1~2月ごろから、大阪府は来春からの導入を目指している。「特区」内の民泊の営業は、7~10日以上の宿泊に限ることや、床面積が25平米以上であることなどの一定の条件を満たすことが必要となる。 農業漁業体験民宿業は、農漁業者が体験型施設として観光客らを宿泊させるもので、かねてより規制緩和の対象となっている。イベント民泊は、年1回程度のイベント開催時に宿泊施設が不足するとして自治体から要請があった場合、一時的に民泊を可能にするもの。福岡市では、今月17日から開催されているアイドルグループ「嵐」の3夜連続コンサートで、市内の宿泊施設不足のため一時的に「民泊」を認めている。
「違法な民泊」の摘発状況は?
旅館業法上違法な「民泊」が発見されたときには、保健所が訪問し、指導が入ることになる。無許可営業が発覚するのは主に近隣住民による通報によるもので、度重なる保健所の指導にも従わなければ、警察への告発につながる。厚労省が保健所のある142都道府県市区で調査した結果、無許可営業の事案把握数は2013年度に62件だったが、2014年には131件と倍以上に増えた。ただ、Airbnbは日本国内で2万1000件以上の登録物件数があると明かしている。 厚労省の担当者は摘発の状況について、「各自治体の保健所の人手の問題もあり、現状では無許可営業の把握は基本的に苦情や通報のあった施設への訪問にとどまることが多いようだ」と話す。