通常より14m短い…だけでなく

プラット・アンド・ホイットニー・カナダの747SP（画像：NASA）。

「ジャンボ機」と呼ばれ、往年の”旅客機の代名詞”ともいえるボーイング747には、45機だけ製造された珍しい派生型が存在します。基本設計をほぼそのままに、その巨大な胴体を標準的な747シリーズ（747-8を除く）より約14m縮めた「747SP」です。 【映像】なんじゃこりゃ？ これが「激短エンジン5発ジャンボ」全貌です 　実は、そのなかでもさらにレアな機体が存在します。どのようなものなのでしょうか。 　747SP自体1970年代中盤に就航したモデルであることから、2024年現在、そのほとんどが退役しています。そのうちの1機が、”異形”ともいえる大改修を施された状態で、現在も運用中なのです。 　その機体はエンジンメーカーのプラット・アンド・ホイットニー・カナダが保有する747SPです。この機体は通常の747SPの4発エンジンに加え、胴体の最上部「ジャンボ」の“コブ”にあたるアッパーデッキ右側最後方にもう1発エンジンを装着し、エンジン5発の状態で飛ぶことがあるのです。 　同社の747SPは、飛行状態で航空機用エンジンの動作試験を行う目的で導入されたテスト機です。つまり、追加で設置される5発目のエンジンはテスト用。アッパーデッキ右側最後方に設置されます。 　なお、この747SPを用いて、三菱航空機が2023年に開発中止したジェット旅客機「MSJ（三菱スペースジェット）」向けのエンジン「PW1217G」の動作試験などが過去に行われています。 　プラット・アンド・ホイットニー以外の航空エンジンメーカーでも、このような747ベースのエンジンテスト機が存在します。たとえばロールスロイスでは、747の標準タイプ（747-200）をベースにしたテスト機を保有しています。