山崎怜奈が選ぶ、2023年のマイベスト「ブック」3冊
ドラマや本、美容からアート、さまざまなカルチャーで心ときめくトピックがあった2023年。2023年のマイベストを各分野に精通するみなさんに聞きました。 今年の韓国カルチャーどうだった?2023年のマイベスト・韓国作品。 前田エマ選 ご自身で手に取ったエッセイや小説に加え、出演するラジオ番組のゲストの著書など、常に3、4冊を並行して読んでいるという山崎怜奈さん。「読書は寝食と同じ」と言うほど、言葉のエネルギーを本から吸収している山崎さんが選ぶ「今年のベストブック」3作品とは?
山崎怜奈 1997年5月21日生まれ、東京都江戸川区出身、慶應義塾大学卒業。2022年に乃木坂46を卒業。TOKYO FM『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』などでラジオパーソナリティを務める他、歴史好きとしても知られており、クイズ番組や教育番組にも多数出演。『歴史のじかん』(幻冬舎)の出版をきっかけに、エッセイの連載を持っている。
【1】児玉雨子『##NAME##』
かつてジュニアアイドルをしていた大学生の女の子が主人公なのですが、当時は自分の意思でやっていたと自覚していたけれど、「それ、やばいんじゃない?」と周りに言われて、価値観が変わってしまう。相当センシティブなトピックですし、まず、このテーマに踏み込んで書かれたのがすごいなと思いました。まともに向き合わないほうが健全にいられそうなことには、まともに向き合わないと書けないと思います。 自分を投影して読んだわけではないのですが、本名で世の中に晒されることの功罪や残酷さについて改めて考えましたね。主人公のことを、哀れんだりののしったりする人、正義感をかざしてくるような人も、結局みんな野次馬で、別に彼女の人生を良くしようだなんて1ミリも思ってないんですよね。 自分では輝かしいと認識していた過去の記憶を勝手に第三者が塗り替えに来ることってあるなって思いました。そんななかで、「まともに傷ついてどうする」っていう一文があって、やっぱり傷つきそうになるものに対して自分を麻痺させながらじゃないと生きていけないよなとも思って。社会状況と照らし合わせてみると、推し活とかとは別軸で、見て見ぬふりはできないものがあるなって感じました。 河出書房新書/定価1,760円