かつての大関候補の意地!若隆景が全勝大の里止めた「下から攻めようと。我慢して相撲とれた」
<大相撲秋場所>◇12日目◇19日◇東京・両国国技館 かつての大関候補筆頭の意地か。若隆景が全勝街道を突き進む大の里を止めた。 立ち合いで押し込まれたが組み止め、下からの攻めできっちり寄り切った。「残せてよかった。下から攻めようと。我慢して相撲をとれたのがよかった」と冷静に振り返った。 大関昇進の目安、三役で直近3場所合計33勝に王手をかける大の里だが、「次期大関候補」に力強くあがっていたのが若隆景だ。22年春場所で初優勝を飾った。関脇を7場所連続で務めながら、右膝のけがで手術を決断し幕下まで番付を下げた。その苦い経験が体に染みわたる。順調に番付を駆け上がる24歳に対し「そういうのはない」と壁になることは否定しつつ、「自分の相撲をとるだけ。それだけに集中していた。一生懸命自分の相撲をとるだけ」と言葉を振り絞った。 再入幕の先場所も11勝をあげ、持っている力を証明した。右膝のけがでいったん休止はしたが、大関を狙える力は実証済み。「また明日から頑張りたい。最後まで一生懸命、相撲をとる気持ちだけです」。 「無双状態」だった大の里を止めた。優勝争いの興味も広げた。大けがからはい上がってきた若隆景が「1強」だった場所に波紋を投げかけた。【実藤健一】