サッカー日本代表の「新顔」望月ヘンリー海輝がサイドバックの序列を崩す 指揮官も絶賛「恐ろしいスピードが出る」
【ロールモデルに掲げた選手は酒井宏樹】 チームのキャプテンで2018年のロシアワールドカップ代表メンバーでもある昌子源からは、「思いきってやって来いよ」と声をかけられた。送り出される立場になって、代表選手としての自覚が芽生えつつある。 「FC町田ゼルビアでも自分のためだけ、ということではないのですが、日本代表というのはさらにそういう思いが強くなるというか、サッカー選手としてトップの場所だと思うので、日本全体のためという責任がすごくある場所だと思います」 日本代表の右サイドバックの序列は、今夏にサウサンプトン入りした菅原由勢を最上位とする。その菅原の後継としてオランダのAZに加わった毎熊晟矢は、初の欧州移籍の直後ということもあって招集を見送られたのだろう。6月のミャンマー戦に先発した橋岡大樹は、負傷により戦線離脱中だ。 望月の序列が2番目、ということではない。森保監督も「完成している選手ということで招集しているわけではない。チームの活動を通して、どれくらいできるか見ていくところはある」と話している。 ポテンシャルに疑いはない。192cmの長身でありがなら、身のこなしがしなやかなのだ。リーチの長さも強みである。相手と並走しながらほんの少し前へ出てクロスを上げたり、ぎりぎりのところで足を伸ばしてシュートやクロスをブロックしたりするのだ。 さらには、スピード豊かなのである。町田の黒田監督は「攻守にわたってスピードを活かせる選手です。前に自分の道が開いたら、恐ろしいスピードが出る選手です」と評価する。攻撃時のフリーランニングはもちろん、守備のプレスバックも高速なのだ。 本人は「高さもあってフィジカルも強い。自分のスタイルに近い」という理由から、酒井宏樹をロールモデルとしている。今はまだ荒削りな部分を残すものの、酒井にはない強みもある。国際舞台へ飛躍していく可能性は、十分にあると言っていい。 浦和戦後のミックスゾーンでは、控え目な声量で自らの思いを明かしていった。性格は温厚で、闘志を内に秘めるタイプと言われるが、言葉に迷いはない。 日本代表での抱負を聞かれると、間を置かずに答えた。 「チームでやってきたことを評価されていると思うので、それを活かしていきたいです」
戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei
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