「モネ 睡蓮のとき」展(国立西洋美術館)開幕レポート。モネ晩年の芸術の極致へ
東京・上野の国立西洋美術館で「モネ 睡蓮のとき」展が開幕した。 本展は、世界最大級のモネ・コレクションを誇るパリのマルモッタン・モネ美術館より、日本初公開の作品を含む約50点のクロード・モネ 作品を紹介するもの。加えて、日本国内に所蔵されているモネ作品も一部展示され、モネ晩年の創作活動に迫る試みとなっている。 モネは、40歳を過ぎてフランスのジヴェルニーに移り住んだ。この地で彼は自らの手でつくり上げた庭をモチーフに、多くの作品を生み出した。なかでも彼が人生の後半生を捧げたのが、睡蓮の花咲く池を題材とした作品群。本展は、そのモネが長年にわたって追求し続けた「睡蓮」の世界を、初期の貴重な作例から、彼が最期までこだわり続けた大画面の作品まで幅広く紹介するものだ。 本展のフランス語のタイトルに含まれている「水の風景(Paysages d'eau)」という言葉は、1909年にモネがデュラン=リュエル画廊で開催した個展「睡蓮、水の風景の連作」に由来している。展覧会のフランス側監修者であるシルヴィ・カルリエ(マルモッタン・モネ美術館コレクション部長・文化財主任学芸員)は本展の意図について、「観賞者を池とその周りに咲く植物、とくに睡蓮を代表とする水辺の風景に引き込み、没入させていく」とし、「今回の展覧会は、これらの作品を通じて、モネが描いた水、そして水と植物との関係性をより深く理解するための貴重な機会となるだろう」と述べている。
文・撮影=王崇橋(ウェブ版「美術手帖」編集部)