2月の「物価高」倒産 57件、2カ月連続で増加 負債総額は 10カ月連続で100億円を超える
2月の「物価高」倒産は57件、2カ月ぶりに50件台に乗せる
2024年2月の「物価高」倒産は57件(前年同月比39.0%増)で、2カ月連続で前年同月を上回った。負債総額は187億8,800万円(同4.7%減)で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。ただ、2023年5月より10カ月連続で負債総額は100億円超の推移が続く。 外国為替相場は1ドル=150円を挟んでの推移と、依然として円安基調となっている。実質賃金が前年同月を下回るなか、生活必需品の値上げが相次ぎ、消費停滞の影響も懸念される。
【産業別】5産業で前年同月を上回る
産業別は、5産業で前年同月を上回った。 最多は、製造業の20件(前年同月比150.0%増、前年同月8件)。次いで、運輸業10件(同66.6%増、同6件)、卸売業9件(同12.5%増、同8件)と続く。 外国為替相場は1ドル=150円前後での推移が続くなかで、原材料や資材、食材に加えて、電気やガス、燃料などのエネルギー価格の上昇が続いている。経営体力がぜい弱な企業ほど、価格転嫁は難しく、資金繰りに大きな影を落としている。
【業種別】最多が道路貨物運送業の10件
業種別(業種中分類)は、道路貨物運送業が10件(前年同月比66.6%増、前年同月6件)で最も多い。今年4月1日からドライバーの時間外労働時間の上限が規制されるなど、いわゆる「2024年問題」が間近に迫るなかで人手不足が顕在化。さらに、燃料価格の高止まりもあり、企業収益に影響を及ぼしている。 次いで、食料品製造業が9件(前年同月4件)、飲食店が4件(同5件)と続く。食材だけでなく、水道や電気・ガスなどの価格が上昇する一方で、個人消費者に近いだけに価格転嫁は容易ではない。
【形態別】破産が8割以上
形態別は、破産が49件(前年同月比32.4%増)で、「物価高」倒産の8割以上(構成比85.9%)を占めた。ゼロゼロ融資返済だけでなく、物価高や人手不足などで事業環境は厳しさを増している。コロナ禍からの業績回復が遅れ、コストアップへの対応ができずに資金繰りに行き詰まり、破産を選択するケースが多い。 このほか、取引停止処分が4件(前年同月比33.3%増、前年同月3件)、民事再生法が3件(前年同月ゼロ)、特別清算が前年同月と同件数の1件だった。