繁華街で客引き行為横行、捜査に記者同行…「トクリュウ」幅広い違法行為に関与か
すぐに近くの雑居ビルに向かうと、府迷惑行為等防止条例違反容疑で現行犯逮捕された男(43)が警察官に囲まれ、捜査車両に乗り込んでいった。男は私服警察官に声をかけ、性的好奇心をそそる言葉で「セクシーキャバクラ」と呼ばれる店に誘客した疑いがあるという。 ◇
キャバレーなど飲食接待を伴う風俗営業店は府内に923軒あり、うち7割弱にあたる621軒が東山区内に集中する。 違法な客引きやスカウト行為は以前からあるが、近年はこうした誘客で得た売り上げの一部が、トクリュウ側に流れているとされる。特殊詐欺に使うスマートフォンや銀行口座の購入などに充てられているとの指摘もある。
東山署の幹部は取材の最中、「世界的な観光都市の京都に迷惑行為は必要ない。引き続き環境浄化に努める」と話し、きらびやかなネオン街の様子に目を光らせていた。街の平穏を保つため、犯罪の芽を摘む警戒の重要さを改めて感じた。
部門横断の専従態勢で警戒
繁華街では、風俗店や賭博店の経営、スカウト行為などに幅広くトクリュウが関与しているとされ、全国の警察が警戒を強めている。 警察庁は今年3月、京都を含む12都道府県警に対し、部門横断での専従態勢の確保を指示。トクリュウは特殊詐欺などの違法行為で得た資金をもとに、繁華街で事業を行っている可能性があり、府警では刑事部門と風俗関係事犯を担当する生活安全部門が連携し、実態の解明を進めている。
府警捜査4課は「トクリュウとその主要メンバーを見定め、風俗や薬物などあらゆる法令を駆使した取り締まりを推進していく」としている。