宝塚退団から半年、元花組トップスター柚香光の今(前編)〝バレエの貴公子〟と共演へ
昔、私が(オペラ座のエトワールで東京出身の)オニール八菜(はな)ちゃんと同じバレエ教室だったこともあって、マチューさんが八菜ちゃんにもお話しを聞いてくださったらしいです。
今まで15年間、宝塚歌劇団生としてショーダンスやジャズダンスなど、色々な踊りをしてきました。どうしたらマチューさんと柚香の融合を、お客様により魅力的に届けられるのか。大きな舞台空間をエネルギーで埋められるか。お客様を高揚感と充実感、幸福感で満たし、お帰りいただけるかを今一生懸命考えています。
■「うたかたの恋」主演同士の奇縁
《バレエ少女だっただけに、マチューさんは子供の頃から憧れの存在だった》
共演は本当に夢のよう。信じられないです。マチューさんの生の舞台は、(宝塚の)下級生の頃か、宝塚に入る前ぐらいに、ガラコンサートで拝見しました。
正にプリンスというイメージで、幼少期から思い描いたおとぎ話の王子様、バレエ界の貴公子様が現実に現れて、しかもとんでもない身体能力で踊れるっていう、本当にもう現実味のない美しさ、っていう感じですよね。夢の世界にお住まいの方です(笑)。
「美しい」って、言葉にするとすぐ完結してしまいますが、一つ一つのポーズからポーズに移り変わる繋ぎも全部、繊細。美は細部に宿る、ではないですけども、その繊細さ、丁寧さ、美しさ、透明感やしなやかさ全部を総合して「美しい」。造形だけの問題ではなく、芯から美しい。すごく丁寧で、誠実なお方ではないかと、(踊りから)想像させられます。
《実は柚香さんとマチューさん、同じ役を演じた共通点がある。19世紀、マイヤーリンクで心中事件を起こした実在のオーストリア・ハプスブルク家の皇太子ルドルフ役で、それぞれ歌劇とバレエの「うたかたの恋」に主演している》
ルドルフは、〝キラキラ王子様〟っていう人ではないですね。でも王子っていうものを研究し、体現している立場で、私は王子といえばルドルフ、って思ってるところもあります。